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第150話 クロード
クロードのPV第二弾の撮影が遅れているという。
「ラッパーたちが変なのよ。
涅槃寂静のボスが話があるって言うから
行って来るわ。」
クロードとジェニファーがF市に出かけて行った。
「わあっ、山崎さんピアスが増えたわね。
顔中だ。」
「やあ、お仕事、順調で何よりです。」
個室のある居酒屋に案内された。
「ここは、涅槃寂静のメンバーがやってる店です。内密でお話があるので。」
みんな適当に飲み物を頼んだ。
「唐揚げ。日本の唐揚げ大好き。
あお、焼き鳥も。皮の塩焼き、ね。」
クロードがはしゃいだ声を上げた。
「乾杯!コレクションが上手く行くように。」
「ありがとう。
山崎さん、お話って?」
「ああ、暗い話題になってしまう。
実はメンバーに問題が起きたんだ。
ジュネ、を覚えているかい?」
「ええ、あのカッコいい娘。
とんがってて可愛い娘ね。」
「彼女は死んだよ。」
「えっ?なぜ?」
クロードもジェニファーも驚いた。動揺を隠せない。
「オーバードーズ、と言えばわかってもらえるか?」
一緒に来ていた阿修羅が暗い顔をして話した。
「近頃、F市で流行り始めた変な麻薬がある。
ジュネは前からヤクに依存するタイプで、みんな気にかけては,いた。」
いつもラップバトルをやるクラブに新しいヤクが出回り始めた。
店のオーナーはみんなに周知させて、手を出したら出禁と言ってたそうだ。
中国系のラッパーと名乗る男たちが、へんなパックの注射器を配っていたという。
「一本300円。あまりに安いから、どうせ、偽物、効かないと舐めてかかってた。」
涅槃寂静のメンバー以外にも、オーバードーズで死んだ者が数人いると言う。
「警察は内定していると言ってるけど、売人を捕まえないんだ。」
「クラブの裏の公園に行ってみて。
変なジャンキーがたくさんいるから。」
この頃みんな集まって来る。売人がいるから。
「なんで警察はその売人をとっ捕まえないんだよ。」
警察官は見て見ぬふりだという。
「パトカーも素通りだよ。パクらないんだ。」
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