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第157話 資金源
M会は今時珍しく反社のレッテルを貼られていない。町の有識者になっている。
「世渡り上手だ。何で稼いでるの?」
「土地転がしとかか。謎なんだよな。
やっぱり、あのコンテナが怪しい。」
港のコンテナは月に数百本、到着して、また、出て行く。経由地だから中は改めない。
港のコンテナは李たちも使っている。主に中古車の輸出だ。アジア諸国では程度のいい日本車は大人気だ。
「梁大人が貿易会社にしろって。節税だ。
半グレでもいい仕事すれば、認められるってか。」
人相の悪いのが港をうろつくようになった。あのコンテナ、数台に一つは、荷解きされている。降ろされた品物は見えないように梱包されてどこかへ運ばれて行く。M会の息のかかった運送屋だ。
李たちも同じ港を使っているのが目障りなようで、陰湿な嫌がらせをしてくる。
オペレーターの順番を守らない。クレーンでないとコンテナは動かせないから、オペレーターは重要な仕事だ。
いつからかオペレーターに中国人が増えた。中国語の怒鳴り声が聞こえてくる。
彼らは順番を守らない。
一方佐波一家が面倒を見ている繁華街の店から相談された。
「組長、この頃変な薬が出回ってるらしくて、女の子たちが辞めてくの。調べて欲しい。」
佐波一家のシマウチで、不穏な噂が広がっている。
「薬やめさせても、抜け殻になっちゃって、店に復帰出来ない。」
ホステスが減ったと言う。ホストクラブも数軒あるが、同じような状態だと言う。
「龍一が言ってたやつだな。」
店のママたちに解毒剤をいくつか渡した。
「命は助かっても、社会復帰は無理かもなぁ。」
繁華街の噴水公園の周りが溜まり場になっていた。みんなボロボロだ。
組の若いもんがゾンビ状態の奴をとっ捕まえて
「どこから手に入れた?」
「ひっ、わからないよ。電子タバコくれるんだよ。それ吸ったら、すごく気持ちよくて、天国に行ったか?と思った。」
女の子がフラフラしながら答えた。
「電子タバコ?注射じゃなくて?」
「虎ちゃんヤバいよ。」
「なんか山崎さんからジェニファーが聞いたのと違うね。あれは注射だった。」
「電子タバコなんて、ヤクとしてはハードルが低いな。」
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