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第159話 ホストクラブ
「この町にホストクラブなんかあったんだね。」
「イケメン勢揃いだったな。」
「やだなぁ、気になる人、いた?」
龍一に肩を抱かれて貴也が一番イケている。
「やっぱり、中国人だった。あのコンテナと関係あるのかな。ハニートラップ仕掛けて来たんだろ。ホスト狙って。」
「ヤク中にしようっていうの?」
龍一に優しく抱かれてその胸を触った。
「大胸筋がすごい。龍一のおっぱい。」
「ははは、くすぐったいな。
ホストと浮気するなよ。」
「うーん、ちょっと興味あるかも。」
三日ほど経った頃、あのホストから龍一に電話がかかって来た。応急であの時、プライベートの名刺を渡したからだ。
「あの、シンが苦しそうで。」
「どこにいるの?こっちに来れるか?」
「いえ、店の寮にいます。」
場所を聞いて貴也が車を出した。足代わりに使っているタントだ。
「ナビ入れたから。寮って店の近くだよね。」
カバンにナロキソンのアンプルと注射器を用意した。
「点鼻薬では足りないかもしれない。」
寮はすぐわかった。
「貴也、マスクしろ。気休めかもしれないが
粉末を吸い込んでもヤバいから。」
「また、あのヤクをやってるって思うの?」
「ああ、たぶん、どこかから手に入れたんだろ。」
十中八九、止められなくなると思っていた。
「シンが震えて、なんか妄想なのか怖いんです。」
ヤクが切れた時の禁断症状はものすごい、と聞いていた。
シンは頭を柱にぶつけて血だらけになっている。蓮がオロオロしている。
「寒い、寒い、ああ、吐きそう。」
黄色い液体を吐いた。もう何も吐くものがないのだろう。
「怖い怖い、足に穴が開く。」
手近にあったものでガツンガツン足を叩いている。
「折れちゃうよ。止めて。」
「あのタバコ,残ってるか?」
「あ、はい。」
蓮が電子タバコにあの箱から新しい物を取り付けてシンに一服させた。
「ふうーっ。」
瞬く間にシンは落ち着いた。目には生気が戻って来た。
「ああ、苦しかった。」
蓮に抱きついて泣いている。
「やめられないか?」
龍一が聞いた。
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