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第168話 李とケン
「ふう、俺、もう疲れたよ。
たくさんの中毒者を見たから。気持ち悪い。」
ケンが李に甘えて言った。
「そうだね。
俺は母親の事を聞いたのが胸に来たよ。
重いな。」
李の胸に抱かれて
「もう、絶対に麻薬はダメだ。悲惨すぎる。」
ケンの手を取って李も頷く。
二人の部屋でソファに座っている。
「ドラゴンの仲間たちは?」
「アジトのどこかにいるだろう。
もう手伝いから帰って来てるはずだ。」
みんな海浜病院に手伝いに出かけていた。
港のパトロールもしている。売人を見つけたらここに連れて来ることになっている。
仕事が出来ないからみんな暇そうだ。
今までプールしていた金で、みんな、なんとかしのいでいる。いつまで続くのか。
李の逞しい胸に顔を預けて,抱かれていると何も心配する事はない、と思える。
髪を撫でられて、シャツに手を入れて筋肉に触る。触り心地が良くてうっとりしてしまう。手を掴まれた。
「ケン、その気になってしまうよ。」
李の手がジーパンの尻にするりと入って来る。
「可愛いなぁ、ケンの尻。」
揉まれて声が出てしまう。
「あ,あん、久しぶりだね。
ずっとしてなかったでしょ。」
「俺だけじゃないだろ。ケンもしてないだろ。」
「うん、欲しくなっちゃう。」
「何もいらないな。ヤクなんかいらない。
おまえを抱くだけでいつもハイになれる。」
熱いくちづけを交わす。
「風呂に入ろう。準備しよう。
俺がゆっくり解してやるよ。」
お互いの尻を触りながら抱き合っていると
部屋の外からノックの音が聞こえて来た。
「李、いたんだ。今、いいかな?」
呉白日の声だった。
「急ぎの用事か?」
ドア越しに応える。
「あ、ごめん、後で出直して来るよ。
二、三時間でいいかな?」
「足りないけど、仕方ない。あとで、な。
今取り込み中だから。」
「ドアにドントディスターブ、のプレートをかけなくちゃ。」
ケンが真っ赤になった。
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