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第22話
翌朝。
ピピッ、ピピッ、というアラームの音で目が覚めた。何か、いつもよりスッキリしてる。そう、俺は、すこぶる調子がいい。
昨夜まで、てんでに動き回っていた細胞達が、今朝は、いつになくビシッと整列しているような感じ。そして、そいつ達は俺の号令を待っている。チーム圭太がそこにあった。
よしっ、いける。ありがとう、芙実君。
俺、やってやるよ。
初日は適度な緊張感はあったものの、試験期間の三日間を通して、俺はほぼリラックスモードで挑むことができた。
俺は、今の実力を遺憾無く発揮できた。もし、これで落ちたとしても、悔いはない。それが今の俺の実力なんだから。また来年、研鑽を積んで、試験に挑めばいいだけのこと。
二次試験には、運がよかった、不運だった、なんてのはないんだ。結果は全て自分次第だ。
とても、清々しい気分だ。
それもこれも、芙実君のお陰。ありがとう。
それでも、合格発表の日のことを考えると、少し恐い。芙実君にガッカリされることを思うと辛くなってしまう。自分でお願いしたくせに…
二次試験の合格発表まで、三ヶ月を要する。結構時間がかかるもんだ。
俺はその間も、いつもと変わらず、規則正しい生活を続けた。午後からは図書館に行って経営経済学の本を読みまくった。
そんな生活がひと月も過ぎた頃、芙実君がやって来た。土曜日の昼に近い午前中だった。
外で、お隣のおばちゃんの話し声がした。
「あら、芙美ちゃん、久し振りね。この間はありがとうね」
「ううん。おじちゃんは体調どう?」
「まぁ、良くも悪くもって感じよ。それより、今日はどうしたの?」
「ああ、お隣の藤澤さんと仲良くなってね…遊びに来たんだよ」
「そうなの。年も近そうだし、よかったじゃない」
「うん。そうだよ」
ここまで話しを聞いておいて、知らん顔はできないよな…俺はドアを開けた。
「あっ、おはよう、圭太」
「芙実君、おはよう…いらっしゃい」
俺は西村のおばちゃんにも挨拶をした。おばちゃんは、いつもありがとうね、と言って部屋に入っていった。
芙実君と会うのは、何かちょっと照れ臭い。抜いてもらったあの日以来だから…
ああ、でもちゃんとお礼を言わなきゃな…お陰で、リラックスして試験に臨めたんだから。
でもまずは、コーヒーを淹れてからだ。
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