24 / 34
第24話
「お役に立てて何よりだよ…お役に立つように、勃たせてあげたんだもんね」
芙実君はそう言って、ケラケラ笑った。で、俺もつられて笑った。
「そうだ。圭太。合格のお祝い何がいいか考えてる?」
「いや、手応えはあったけど、まだ合格したわけじゃないから…それに、この間一緒に発表を見てくれるって言ってくれたから。それで充分だよ」
芙実君の可愛い口元がへの字になった。
「だから、合格するのをイメージしてさ、ほら何かないの?欲しい物とか、したいこと、とかさ」
えっ…したい、こと…。
その時、圭太その二が現れた。ほら、芙実君が言ってくれてんだから、言っちゃえよ…キスしたいとかさ。
芙実君は俺をじっと見ている。
男だろ、圭太。
強気の圭太そのニ。
よっ…よぉし…言うぞ。
「あっ…あのさ…もし、そう、もし俺が合格したらさ…芙実君と…したいな…なんて…あぁごめんなさい…調子乗ってしまいました」
芙実君は、クスッと笑った。
「圭太って、結構、即物的なとこあるんだね」
えっ?即物的?
「いいよ。俺、圭太のこと好きだから…でも、その前にキスくらいはしようよ」
うん?…なんか今さらりと凄いことを言ったよな…芙実君…ねぇ、どうしちゃった?
芙実君は俺の横にきて俺の頬を両手で挟み込むと、いきなりキスをした。
ええええっ!!! なっ…何でぇ…⁈
俺は、驚きで目を最大に見開いて、芙実君からのキスを受けていた。
「もう、圭太。何でそんな顔すんの」
だっ…だって。だってキスはお祝いでしてもらうはず…だよね。
「キッ…キスはさ…その…合格したらキスしたいなって言ったのに…芙実君いきなりするんだから、俺びっくりしたんだよ」
「えっ?圭太、さっき芙実君としたいなって言っただろ?」
俺は首を横にブンブンと振った。
「芙実君とキスしたいなって言ったんだけど…聞こえなかった…かな」
確かに、キス、っていうところは小さい声になったかも。だって、おばちゃんに聞かれたら恥ずかしいし…
「もう、大事なことは、大きな声で言ってよ」
「ごめん…お隣に聞かれたらって思って…」
「おばちゃん、そんなにいい耳してないよ」
そうなんだ…
「じゃあ、俺のキス返してよ」
えっ…どうやって?てか、芙実君、怒ってる?
ともだちにシェアしよう!

