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第24話

「お役に立てて何よりだよ…お役に立つように、勃たせてあげたんだもんね」  芙実君はそう言って、ケラケラ笑った。で、俺もつられて笑った。 「そうだ。圭太。合格のお祝い何がいいか考えてる?」 「いや、手応えはあったけど、まだ合格したわけじゃないから…それに、この間一緒に発表を見てくれるって言ってくれたから。それで充分だよ」  芙実君の可愛い口元がへの字になった。 「だから、合格するのをイメージしてさ、ほら何かないの?欲しい物とか、したいこと、とかさ」  えっ…したい、こと…。  その時、圭太その二が現れた。ほら、芙実君が言ってくれてんだから、言っちゃえよ…キスしたいとかさ。  芙実君は俺をじっと見ている。  男だろ、圭太。  強気の圭太そのニ。  よっ…よぉし…言うぞ。 「あっ…あのさ…もし、そう、もし俺が合格したらさ…芙実君と…したいな…なんて…あぁごめんなさい…調子乗ってしまいました」  芙実君は、クスッと笑った。 「圭太って、結構、即物的なとこあるんだね」  えっ?即物的? 「いいよ。俺、圭太のこと好きだから…でも、その前にキスくらいはしようよ」  うん?…なんか今さらりと凄いことを言ったよな…芙実君…ねぇ、どうしちゃった?  芙実君は俺の横にきて俺の頬を両手で挟み込むと、いきなりキスをした。  ええええっ!!! なっ…何でぇ…⁈  俺は、驚きで目を最大に見開いて、芙実君からのキスを受けていた。 「もう、圭太。何でそんな顔すんの」  だっ…だって。だってキスはお祝いでしてもらうはず…だよね。 「キッ…キスはさ…その…合格したらキスしたいなって言ったのに…芙実君いきなりするんだから、俺びっくりしたんだよ」 「えっ?圭太、さっき芙実君としたいなって言っただろ?」  俺は首を横にブンブンと振った。 「芙実君とキスしたいなって言ったんだけど…聞こえなかった…かな」  確かに、キス、っていうところは小さい声になったかも。だって、おばちゃんに聞かれたら恥ずかしいし… 「もう、大事なことは、大きな声で言ってよ」 「ごめん…お隣に聞かれたらって思って…」 「おばちゃん、そんなにいい耳してないよ」  そうなんだ… 「じゃあ、俺のキス返してよ」  えっ…どうやって?てか、芙実君、怒ってる?

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