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第30話
しばらくすると、俺の肩に頭を引っ付けている芙実の寝息が聞こえてきた。
目を閉じる前に、圭太、絶対大丈夫だよ、って手を繋いでくれた。
結果はわからないけど、大丈夫だと信じよう。芙実がそう言ってくれたんだから。
芙美の髪にそっとキスをした。今日は俺ん家のシャンプーの匂いだ。
目を閉じても、一向に眠気がこない。頭に浮かんでくるのは、アレのことだ。この状況じゃ仕方ないか…
明日、合格して、芙実を抱いたとしよう…で、その次からは、どうするんだ?そもそも次はあるのか?明日はご祝儀エッチなわけで、その次は…そうだ、ちゃんと俺たちの関係を、いや、俺はどうしたいのか、はっきり伝えないと。
俺の人生で、きちんと告白するのは初めてだ。
芙実、俺と付き合ってください。
あぁ、合格発表を待つよりドキドキしてきた。
俺、明日、心臓もつかな…。
朝、スマホのアラーム音より、俺は早く目が覚めた。あぁ…後、ニ時間で結果がわかる。
芙実が、大丈夫って言ってくれたんだから、大丈夫だ。俺の枕で気持ちよさそうに寝ている芙実を見てると、自然と大丈夫だと思えてくる。
俺はそっと布団を抜け出し、台所で洗面をした。ケトルに水を入れてお湯を沸かしている間、無音でラジオ体操を始めた。体を動かすと、どんどん血が巡っていくのがわかる。
あぁ…どうか幸せな一日でありますように。
コーヒーの香りが部屋中に広がると、芙実も起きたようだ。
「…ううん。いい香り…圭太、どこ?」
「こっち。コーヒー飲む?」
「それより、こっちに来て」
俺は芙実が捲り上げた布団の中に入った。
「せっかく一緒の布団で寝たんだから、まずは布団の中で、おはよう、でしょ」
もう、また可愛いこと言って。
「おはよう、芙実…大好きだよ」
俺は、芙実にくちづけをした。
俺ってこんなことできる奴だったんだ。芙実が好き、っていう気持ちがそうさせるんだな。
ご祝儀エッチはやめておこう。
ちゃんと告白して、恋人同士になってからだ。
布団の中で、俺は芙実を抱きしめた。
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