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「…クク、まさかもうイきそうなんですか…。馬鹿真面目の俺のちんぽ、そんなに気持ちいい…?」
しかし俺は意地悪にそう言いながら、その人が天へ押し上げられようとしている場所、すなわち子宮口への接触をあえて控える。――速さや激しさは変えずに届きそうで届かない、焦らすような動きでユンファさんを揺さぶる俺を、威勢よく涙目で睨んできたユンファさんのこれは、
「……ッち、っ違う、気持ちよくない…っ、別に気持ちよくなんかない、…は、――ちんぽなんか全部同じだ、…」
……もちろん虚勢である。
俺は可笑 しかった。大そう愉快だった。
「…はははは、どうしてそう貴方は、わざわざ辛 いほうの道を選ぶのかな…。素直に“ソンジュのおちんぽが一番気持ちいい”って言えば、俺も快 く貴方をイかせてあげるというのに…。ふふ……」
するとユンファさんは真っ赤な顔でツリ目の眼光を鋭くする。
「…誰が言うかそんなこと、…調子に乗らないでくれないか、…」
「じゃあ気持ち良くない、別にソンジュのちんぽなんか気持ち良くないって言いながら…それに反してイったらどうです…? ……」
俺は頭を沈め……ユンファさんの首筋を舐めしゃぶり、彼の両膝を掴んでぐっと押しながら、彼の極地の門をさらに開かせようというほど攻城槌 のように激しく侵攻する。――ドチュドチュと奥を叩かれるように平攻めにされているユンファさんは、またほとんど無意識だろう、俺の肩甲骨をぐっと抱き寄せ、
「…あっ…!♡ あっ…!♡ あっ…!♡ あっ…!♡」
と俺の耳元で、普段よりも甲高い声をあげている。
「…ほら、気持ち良くないんでしょう…?」
「うっ♡ ぅくっ…♡ っきもち、よくな……っ♡ ふっ…♡ んっきもち、よくらい…っ♡ あ…っきもち…っよくない、♡ きもちよく、っない…っ!♡」
もはや呂律さえ鈍 ってきたユンファさんは、もちろん嘘をついているのである。彼の膣が硬くなっている。彼が意地でも絶頂を遂げないようにと力を込めて、それによってその高まりを抑えとどめているからである。――俺は彼の耳元に唇を寄せる。
「…ほら素直になって…? 気持ちいい…ソンジュのおちんぽ、正直気持ちいい…、ソンジュのおちんぽで子宮をズンズン突かれるの、凄く気持ちいい…――もうイっちゃいそう…、僕をイかせてソンジュ……」
「グッ言わない、気持ちよくない、! あっぅ…!♡ っぜんぜ、気持ち、よくない、!」
泣きながら怒っているような声でこう意地を張り続けるユンファさんしかし、俺にこう囁かれると……、
「…そう…? 俺はユンファさんのここが一番好きだよ……凄く気持ちいい…。ふふ……」
「きもち…ょく…あん…♡ …あっあん…♡ あんらめ、♡ …あん…♡ ぁう、んんん゛…っ♡♡」
……珍しく媚びたような「あん」という甘い嬌声をあげた。
しかし意地を張りつづけていたユンファさんだったが、俺に子宮が突き動かされるほど激しく腰を振られると、――そもそもその兆候を示していた彼の肉体では無理もないが――、この気の緩みにいよいよ俺に天まで押し上げられた。
「……ぅ…〜〜〜っ♡♡」
ビクッとユンファさんの腰が跳ね、彼の膣がぎゅうぎゅう収縮して俺の勃起を食いしばる。俺の背から掴んだ俺の肩を彼の手がぎゅうっと握りしめる。もう片手は俺の背に爪を立て、彼は全身を硬くしながら、結果俺が前によたついてベッドに手を着くほど俺のことを抱き寄せてくる。――絶頂のさなかにこうして相手にしがみつくのもまた、彼の癖であるらしかった。
……好きだなぁとまた改めてユンファさんを愛した俺だったが、とはいえ、動きをとめた俺は、
「…あーあ…」
とユンファさんの耳もとで呆れた笑いを含ませた声をだした。もちろんわざと呆れたふりをしたのである。
「…ソンジュのおちんぽなんか全然気持ち良くないのに…そのソンジュのおちんぽで呆気なくイってしまいましたね、ユンファさん…? ふふ…貴方は大嘘吐 きだ……」
「…んぁ…♡ や、ちが……は…違う…」
もはや彼が一番「違う」というのが間違っているとわかっている。だからむしろそうとしか言えないのである。――「素直に気持ちいいと言えばいいのに」と俺は彼の耳にささやいたあと、彼のはぁはぁと盛り上がっては平たくもどる白い胸板へと唇を寄せた。
許されたのだ、と、俺は免罪符を得ていた。
先ほどユンファさんは俺への嫌味で「もっと束縛してくれる刺激的な男のほうが好みだ」と言った。
彼が言っていたその「束縛」というのは恐らく、「お前は自分だけのものだ」とスキンを着けないで膣内射精をするような男、彼の体に自分の子孫を宿させるという男の本能から膣内射精をし、それによって彼を屈服させようとしてくる男――要するにユンファさんは、「ゴムなんか今すぐ外せ」と俺に言いたかったのであろう。
しかし俺はあ え て 間 違 っ た 解 釈 をし、彼のその言葉を免罪符とした。そして俺は独占欲の衝迫 に疼くこの唇で、その人の白い胸を咬 んだ。
「――ぁ……?」
するとユンファさんは一瞬夢見がちなうつろな声をあげたが、はたと我に返ると、こう慌てた。
「……っお、おい、っ駄目ソンジュ、何するんだよ、…」
そうして彼は俺の頭を押しのけようとしたり、俺の肩を押しのけようとしたりしてくる。チクッとした痛みでわかったのだろう。――しかし、俺が強いてもう一つ唇の痕を残そうとすると、
「駄目、ねえやめろよ、嫌だ、…」
このように嫌がって、より抵抗を激しくするユンファさんに――俺は、俺の唇の着地を阻もうとするユンファさんのその両手をするりと取り、そして彼の両腕をかさねて彼の頭上にまとめてしまった。もちろん手首の傷が痛まないように、俺が押さえつけている場所は彼の上腕である。
そして俺はユンファさんを見下ろして首を傾げる。
「…貴方仰言 ったじゃないですか…。束縛をしてくる刺激的な男のほうがお好みなんでしょう…?」
「っちが、違うっ…! そういう意味で言ったんじゃない、馬鹿じゃないのか君、…」
としかし俺はあからさまにユンファさんの切れ長の目に睨まれ、彼の剣突 を食らってしまった。
……が、俺はふたたび悠々と彼の胸板に唇を寄せた。ちゅ…と今度は軽快なキスをした。ちゅ…ちゅ…と何度も痕の残らないキスをする。――すると怯えたように、彼の膣内がそのたびきゅっ…きゅっ…と締まる。
「…や、…やめろ、ってば……」
「…ふ、今はつけていないよ…」
「……っ揶揄うなよ馬鹿、僕より年下の癖に、…君生意気だ、この馬鹿犬、…」
「…ふっ…」
俺はついそれを鼻で笑ってしまった。
……可愛い。――俺はぺろ…ぺろと彼の甘い熱いなめらかな胸を犬のように舐めたあと、こらえきれない笑いを含ませて彼の胸にこう言った。
「…ふ、ククク…その年下の馬鹿犬に、よくめちゃくちゃにされている年上のお兄さん…? どうせなら俺を飼ってよ。正式に俺の御主人様になってください…――というか、そもそも犬というのは、愛する主人への独占欲が強いものなんです…。そう…俺は貴方が大好きなもので、つい独占欲がね……、……」
こうして、……と俺はもう一度ユンファさんの胸板のうすい皮膚を唇で咬む。
「……ぁ…♡ …やめ……ねえ、駄目…困る……」
しかしその口ぶりばかりは困ったふうなわり、ユンファさんのその声にはたっぷりと甘い吐息がふくまれていた。――ともすると俺に「満更でもないんだな」と断定されかねない、色っぽい悦 びの隠しきれない声である。いや、実際満更でもないのだろう。
「…ふっ…そんなに甘い声を出すと、俺に勘違いされてしまうけれど…大丈夫ですかユンファさん…? つい嬉しいのかなと思ってしまいますね……」
「…違う、勘違いするなよこの馬鹿犬…っ」
しかしまた我に返ったか、ユンファさんがそう声を荒らげる。
「キスマークなんかつけるなよ、僕は君に僕の彼氏気取りをやめろって言っているんだ、…実際ソンジュは僕の彼氏でも何でもないだろ…っ!」
俺は怒鳴られてもなんら堪 えず、「わんわん」とユンファさんの胸もとで馬鹿らしく吠える。
「……ふ、じゃあどう困るの…? その理由によっては考慮し、もうこれ以上はつけませんけれど。……」
言い終えて俺はぺろー…ぺろー…と犬が飼い主を舐めるように、彼の甘い桃の味のなめらかな胸を何度か舐めあげる。
「……ん…♡ だ、だから……彼氏、出来たのとか聞かれたら面倒じゃないか…――馬鹿な客にはそういう詮索をされ、貢ぎおじさんたちには嫉妬され、セフレには揶揄われ…、ご主人様に至っては、いもしない彼氏を使った調教をしてくるかもしれないだろ……」
「…ふっ…何だ、そんなことですか。…悪いけれどもう今更ですよ、だってもうキスマークはついてしまっているんですからね。……」
そう、もう遅い。
紅い俺の唇の痕は、すでに彼の生白い胸もとについてしまっている。――俺は一旦頭をもたげ、ユンファさんの頭上にかさねた彼の両腕を押しつけたまま、彼の子宮口をふたたび意気衝天 と乱打する。
「…ぁあっ…?♡ あっ…!♡ いやっ話のとちゅ、…あっ…♡ やめっ…馬鹿、やめろこの馬鹿犬、…っ」
するとユンファさんは俺をキッと涙目で睨みつけ、その揺れる濃い紫いろの瞳で俺の目を射ようと必死になっているが、しかし快感からくら、くらと揺れているので今それは困難をきわめている。
「早く俺だけのものになってくださいよユンファさん…。早く諦めないと、その内に生活もままならなくなってしまうよ…――きっといつかは貴方の心も体も、この俺に依存しきってしまうんですから。ふふ…」
「…はあ…っ♡ あっ…♡ あっ…♡ ゃ、…っ嫌だ、そんなわけないだろ、僕は誰のもんにもならない、離せよっやめろ…! やめろこの馬鹿、ソンジュ、…こんなドS気取り、君恥ずかしくないのか、?」
と俺を睨みつけて言ったセリフのその内容のわり、そのユンファさんの声には甘くすすり泣くような甘露の響きがあったのにもまして、俺を納めた彼の膣内はきゅっきゅっと収縮し、まるで甘い絶頂を遂げたかのように俺のことを奥へ奥へと神秘へ誘っている。
すると俺の悪戯心がそそられたのにも増して――どうも彼が本気で嫌がっているとは捉えなかった俺は、
「…うん…とても恥ずかしいです…、……」
と言ったあとに止まり、唇を寄せた彼の胸へ、もう一つ唇の痕を残した。
「…は…ぁ……♡ ねえ…そんな、こと…やめ…、…ッチ、僕は困るって言っているじゃないか、僕の言うことが聞けないならもう会わないからな、…」
「…わかったわかった…。じゃあもうつけないけれど…――何が困るの…? “彼氏が出来たんだ”って正 直 に 言えば…?」
俺が頭をもたげ、そしてまたぐっぐっぐと彼の子宮口を押し上げてやろうという勢いと速さで迫ると、ユンファさんは快感から切ない顔をしてぎゅっと目をつむる。
「…あっ♡ あぁゃ、♡ やめっ…んっ♡ い、言えるわけない、だろ馬鹿、…何が正 直 に だ、…」
「…何故…?」
俺は迫るテンポを変えない。
……ユンファさんは険しいというほど眉を顰めながらぎゅっと目をつむり、斜め下へ顎を引く。
「…く…っ♡ きっ、君はただの、…」
「ふふ…そう。俺はユンファさんの彼氏だ。俺たちは付き合い立てのカップルです。――だから今日も俺を頼って、俺の家に逃げてきてくれたんでしょう…?」
なんて俺が独断的に言うと、俺はユンファさんにまたキッと涙目で睨まれる。
「っは、? あっ…♡ ん、違う、♡ たまたま君の家が近かっただけだ、…ば、馬鹿を言うなよ、ソンジュは僕の彼氏なんかじゃな、…うんっ…♡ っん…♡ 馬鹿…君なんか嫌いだ、僕のただの舐め犬の癖に、…そもそも僕は年上がタイプなんだ、年下のソンジュは全然タイプじゃない、…」
「…その馬鹿犬の、舐め犬の、年下彼氏のちんぽでイきそうな癖に…――じゃあイっちゃ駄目…。ユンファさん…これでイったら、貴方はもう俺だけのものだからね…」
「は…っ? あ…♡ ……ぁ…っ♡ や、…だっだめ…♡ 嫌、いやだ、ばか…、ばか、嫌い、…うぅ…っ♡」
するともはや「馬鹿、駄目、嫌、嫌い」しか言えないらしいユンファさんは目を伏せ、眉尻を下げた切なげな泣き顔となる。
「…そ、そんなの、…ん…♡ あん…♡ あ…♡ あ…♡ だ…だめ…♡ そんなのだめ…♡ あぁ…あ…♡ あん…♡ ぁ、あん…♡ あん…♡ やら…♡ やらぁ…っ♡」
彼はそっと悲しげに目をつむり、しかしその陶然とした甘ったるい嬌声のわりには嫌だ嫌だと身をよじって、ゆるくかぶりを振っている。
「…可愛い…ふふ、やっぱり貴方、本当は俺の彼氏になりたいんじゃない…? ほらユンファさん、俺のちんぽも大好きでしょう、凄く気持ちよくて……」
「っちが、ふざけんな、…」
しかし俺はまた、ユンファさんの苦しげな細い目で睨みつけられる。
「っそんなの不当だって言ってるんだ、君は僕の彼氏じゃない、別にソンジュのちんぽなんか好きじゃない、…きもちっ…よくな、…〜〜〜っ♡♡」
……そこで俺を睨み上げていたユンファさんが絶句し、彼はぎゅっと目をつむると、真っ赤にそまった険しい顔を斜め下へ伏せた。
「…気持ちいいから…またイきそうなんでしょう…? 彼氏のおちんちんがやっぱり一番気持ちいい…?」
俺のこのセリフに、もはや反発するだけの余裕もないユンファさんの顔には愛らしい弱気な苦悶がにじみ、
「…ちが、…あっ…♡ あ、ぁ…っ♡ ちが…♡ あぅ…♡ ぁめ…♡ らめ…♡ ばか、だめ…♡ きらい、嫌い…っソンジュなんかきらい、…あん…♡ ん、違うの…♡ ちが、これは…違う…あぁ…〜〜っ♡ だめィk…♡ ばかィ…っちゃぅ、♡」
とひそめた端整な黒眉の眉尻を下げる彼は、その苦悶の顔をイヤイヤとこてん、こてん左右にたおしながら、泣いているような湿り声でこう言う。
「……〜〜〜っ♡♡ …ぅ、♡ いやっ…いゃだ、♡ 嫌だ、だめ、今いきたくなぃ…っ!♡」
「可愛いなぁユンファさんは…、早くイけば…? 早く俺だけのものになっちゃえ…。ふふふ…――。」
するとユンファさんはぎゅっと目を瞑ったまま、泣いている横顔で忌々しげにこう吐き捨てた。
「…ク…ッ! ゆるさないからな、…ちがう、認めないから…っ!♡ ぜった、…こんらのみとめな……――〜〜っ♡♡」
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