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                 俺が「まだ挿入していいとは言っていない」と意地悪を言うと、俺のそれによってたちまち期待を裏切られたユンファさんは、俺の勃起のうえで膝立ちになったまま眉尻を下げて落胆した。  ……俺は彼のその落胆の表情を見上げてニヤリとする。   「ふふ…、現に俺は“膝立ちになって”、としか言っていませんでしょう…?」    そして俺の片手は、おもむろに自分の薄桃の薄皮をまとった滑沢(かったく)のある勃起を立て、それの真上にある彼の膣口にその勃起の先端を縦にくちゅくちゅと小刻みにこすりつける。――するとビクンッと彼の平坦な下腹部がへこむように大きく跳ね、…ややあってビクビクッと連続でも跳ねる。   「……っ♡ ぁ…♡ ぁ……♡ お、お願い欲しいの…、意地悪、しないで……」    とユンファさんは切なく細められた切れ長の目で俺を見下ろしながら乞い願うが、その実こうした俺の意地悪には悦んでいるのである。――なぜ俺に彼がこれで悦んでいるとわかるかというと、今の彼の表情が例のマゾヒスト的な恍惚のそれであることにもまして、何よりも彼が自分で腰を落とさないためである。  ……それこそこのまま腰を落とせば、彼が欲している俺の勃起はお望みどおりたやすく彼の膣内におさめられる。    ところがユンファさんはそうしない。  ……それどころか、彼はより自分をみじめにしようと――よりマゾヒストの自分を自分でも悦ばせようと――まず自分の下腹部をおおう黒ニットの裾を両手できゅっと握りしめ、そのお尻を後ろに少し突き出してはやや下向きの陰茎を少し突き出すように前後に腰をなめらかに動かして、くちゅんっくちゅんっと自ら俺の先端にその膣口をこすりつけてくる。  するとその淫靡なヘコヘコとした腰の動きもさることながら、彼の芯は通えどうなだれている陰茎がぷるんぷるんとそのたびに根本から振られ、のみならず、彼のそれはみるみるとその濃い桃色の艶のある亀頭をもたげてゆく。   「おちんぽ下さい…♡ おちんぽ下さい…♡ おちんぽ下さい…♡」 「……あぁそんな…、俺のちんぽに媚びるようなそんなことまでしてしまうんですか、ユンファお兄さんは…、物凄くいやらしいですね……」    この場合の男の「いやらしい」とは概して褒め言葉である。  そうして大分よい感じでマゾヒストの媚態をさらしはじめたユンファさんにほくそ笑む俺は、さらに勃起の先端でくちゅくちゅとその人の膣口をくすぐって焦らす。   「…ふふ…お兄さん…? そんなに俺のおちんぽが欲しいんですか…?」   「……ぁぁ…♡ …はぁ、はぁ…♡ はぁ…♡」    しかしユンファさんは恍惚とした表情を浮かべるだけで何も答えず、その代わりにはぁ、はぁとその上ずった呼気をなまめかしく荒らげる。欲しい、欲しい、欲しいとその人の細腰はぐちゅぐちゅと前後をつづける。――俺は()()()()()()()()として、強く言い付けるような低い声で再度この質問をする。   「俺のちんぽ。欲しいんですか。」 「……は…♡ …♡ …♡ …♡」    すると、俺を見下ろすその切れ長の目を酔眼(すいがん)的に危ういほどとろめかせたユンファさんが、浅くコクコクコクと何度もうなずく。――しかし俺はそれでは許さない。   「返事は。」   「……ッ♡」    びく、と下腹部を跳ねさせたユンファさんの眉が悲しげに寄る。そして彼はその豊艶(ほうえん)な赤い唇の口角を下げ、泣きそうなか細い声でこう答える。   「…は…はい、欲しいです…」   「どこに…何が…?」    もちろん聞くまでもないことだ。  彼は今もなお俺がくちゅくちゅと勃起の先端で誘っている「ここ」に、まさにその俺の勃起が欲しいのである。当然俺はわかっている。  しかし、かえって俺たちのような人種にとっては、それがわかっているうえで明言化を求める・求められることにこそ悦びがあるのである。――腰の動きを止めたユンファさんは被虐の悦びにひそめた黒眉の眉尻を下げ、口角を下げたまま泣きそうな顔をする。  ……ところが彼のその切れ長の目は今やこの悦楽(えつらく)を得て、まるで嬉し泣きをしているように潤みながら、微笑んでいるようにたおやかな()(えが)いている。   「…そ、ソンジュのおちんぽ、まんこに欲しいです、…」   「……え…? 何ですって…? 腰をヘコヘコ振って俺のちんぽに媚びながら、もう一度どうぞ……」    さらなる屈辱を強いる俺の要求に、ユンファさんは切ない顔を真っ赤に染めた。しかし彼は先ほどのようにその腰を柔媚(じゅうび)に前後に揺らめかせ、ぐちゅぐちゅとぬかるんだ音を立てる膣口を俺のそれの先端にこすりつけながら、はぁ、はぁと喘ぎながら俺のそれに従う。   「ソンジュのおちんぽ、…ま、まんこに欲しいです、♡ おちんぽ、まんこに下さい、♡ 君のおちんぽ僕のまんこに下さい、♡」    彼のマゾヒスティックな興奮とすっかり気脈を通じたその人の勃起は、今や立派な上向きとなってゆらんっゆらんっとはしたなく根本から振れている。   「…ふぅん、そう……」    としかし俺はあえてすげなく答える。   「……ッ♡♡」    するときゅっと泣きそうな顔をしたユンファさんは腰の動きを止めたが、その勃起は根本からビクンッビクンッとその人の下腹部へ向けて反れるように跳ねる。  マゾヒストの彼は強いてみじめな真似をさせられたというのに報われず、それどころか俺に冷たくあしらわれたので、また切なくなるほど興奮したのだろう。   「…ところでユンファお兄さんは…()()()()ですものね…、大人、なんですものね……?」    俺が会心を得た微笑をうかべながら唐突に穏やかな声で強調するそれに、ユンファさんは何かしら不穏な気配を感じとった不安げな顔をするも、ひとまずはその曇った表情をコクと小さく縦に揺らした。   「そうですよね…、じゃあきちんと“()()()()()()”くらい出来ますよね…?」   「……へ…?」    するとユンファさんがはたとその恍惚状態からやや目を覚ます。俺は自分の勃起を自分の下腹部に寝かせ、彼のその決まり悪そうな眉が寄った笑顔を見上げながら、わざとらしく眉尻を下げた困ったふうの笑みを浮かべる。   「え…? まさか…貴方は()()()()()()()だというのに“ごめんなさい”も出来ないんですか…? しかし…ユンファお兄さんがきちんと()()()()()、俺に“ごめんなさい”をしてくださらないと……俺、とてもじゃないがおちんぽは貴方にあげられません……」   「…え…ぇ、で、でも…ぉ、大人としてって、…いや僕、僕が君に何をしたって……」    などとユンファさんはわりと本気で焦っている。  俺は「もう忘れてしまったんですか…?」とわざわざ目を見開き、呆れた顔を作る。   「年下の俺のことを()()()()()という理由だけであんなにいじめておいて…? 酷いなぁユンファお兄さん……だって俺、さっきは年上のお兄さんにあんなにいじめられて、とっても怖かったし、とってもとっても傷付いたんですよ……」   「……、…、…」    いや嘘つけよお前、というユンファさんの細目が俺をじっとりと見下ろしてくる。もちろん嘘だ。   「――ということで……さあ、どうぞ…?」    と言う俺の顔からはたちまち笑顔が消え失せる。  そして俺はあまたのマゾヒストを否応なしに屈従(くつじゅう)させてきた、サディスティックな冷厳(れいげん)な声色でこう言う。   「“僕はドマゾの癖に調子に乗って、さっきは年下の()()()ソンジュくんをいっぱいいじめてしまいました。ごめんなさい”……」   「……ッ♡」    ユンファさんのその美しい顔が悦ばしい屈辱に悔しげに歪む。…その人の下腹部から無毛の恥骨まではくねくねとそこで呼吸しているかのように揺らめき、はぁはぁと上ずった吐息をもらす口角の下がった彼の赤い肉厚な唇は、しかし言うのだ――。   「…ぼ、僕、…僕は…ど、ドマゾの…くせに……」    ()()()()()()。   「…はい?」    と俺は勃起を立て、その人の小ぶりな白っぽい陰嚢を先端でくにくにと優しくつつく。   「……ひ…っ♡ …ぁク、♡ …〜〜っ♡」    それにユンファさんがビクンッと怯えた風に腰を跳ねさせる。…(彼はその不意な戦慄(せんりつ)にさえ悦んでいるが)男の陰嚢はそれほどの弱点である。   「何です? はっきりどうぞ…」   「……ッ、……」    俺がさらに口でも急かすと、彼はその眉尻の下がった苦痛げな端整な黒眉の下、その潤んだ切れ長の両目を伏せながら羞渋(しゅうじゅう)と、   「…ぼ、僕は…ドマゾのく、くせに……調子に、乗って……と、年下の…」    こう俺の指図に応えようとはするが、俺ははーっと呆れかえった風に神経質なため息をつく。   「いえお兄さん…、人に謝罪をするときは、その人の目をきちんと見て…誠心誠意、心を込めて謝罪をするものです…。貴方大人なのに、そんな常識もないんですか…?」   「……ッ、…、…、…」    するとほとんど泣き顔といってよいほど顔をしかめたユンファさんはしかし、もはや正気とは思えないほど、そのたっぷりと涙に潤んだ切れ長の目をとろめかせて俺を見下ろしながら、泣きそうに詰まり詰まりもこう急ぎ俺の要求を完遂する。   「ぼく、! 僕は、…ドマゾのっくせに、調子に乗って…年下の、……か…か弱い…ソン、…ソンジュっくんを、…いじめて、しまいました、ごめんなさい、…」    しかし俺はこれくらいではまだ許さない。   「……ふ…、ねえ、本当に申し訳無いと思われていますか…?」    すると、ふてくされた態度のユンファさんがあからさまに俺を睨み下げ、その片頬をビキビキと引きつらせながらもこうコクコクと頷く。   「……っ、…はい、申し訳ありませんでした、…」   「…はは、本当かな…? どうも誠意が伝わってきませんけれど…。本当に反省をしている…?」   「……はい、…」    ありありと不満をその顔にあらわしながらも破れかぶれで反省している、というユンファさんを、俺は笑いながら「本当…?」と執拗に疑う。   「はい、ほんとーに反省してますが…?」    と彼は今にも舌打ちをかましそうな顔で言う。   「……わかりました。…では、反省しているのならばどうぞ続けて…、はい――“僕はソンジュくんよりも年上のお兄さんだけれど、みっともないドマゾだから、本当は年下のソンジュくんにいじめられたかったんです。…僕は君に仕返しがされたくて意地悪をしてしまいました、ごめんなさい。…その(つぐな)いといっては何ですが、今からはドマゾのユンファお兄さんのことを沢山いじめて憂さ晴らしをしてください、ソンジュくん”……」    と俺がさらなる恥辱のセリフを要求するなり、   「……ッ!」    俺を弱々しい両目で睨み下げてくるユンファさんの眉間に、屈辱の深いしわがあらわれた。  しかし一方の俺は不敵な笑みを自分の口角にあらわしながら、その人の膣口をちゅくちゅくと先端でくすぐって急かす。――さもこれを言ったらご褒美をあげる、とでも言うかのように。  ……するとユンファさんは悲しげにその切れ長のまぶたを細めながら、   「…ぼっ僕は、…そ、ソンジュくんより…年上、…年上の…ぉ、お兄さん…だけど、…みっ……っみっともない、…〜〜〜っ」    とここで詰まるユンファさんは、息を止めて必死に嗚咽をこらえている。彼はその顔を真っ赤に赤面させ、ぽろ、と悔しげな切れ長の目の片方から涙をこぼすと、ヤケの激しさをもってこう続ける。 「…僕は、…ッみっともない、っドマゾだから、! 年下の、ソンジュくんに、…ほっ本当は、いっぱい、いじめられ、たかったです、…っい、いじめてください、…ほ、本当はい、いじめられっ…たくて、…っ君に、意地悪しました、――き、君にっ…仕返し、されたかったんです、…ごめんなさい、…」   「…へえそうだったんですか…?」    と俺は両眉を上げて驚いた顔を作りながら、ぬけぬけとわざとらしくとぼける。   「…すると貴方は、とんでもないマゾヒストだったということですよね…、ねえユンファお兄さん…? それはそれは…俺、知らなかったなぁ……」    ……ところでおそらくだが、先ほどの「ユンファお兄さまモード」のユンファさんは、まさか俺のこうした仕返しなど期待してはいなかったことだろう。むしろ普段俺にいじめられているその仕返しをしていたのは彼のほうだったのだ。――もちろんそうとわかっていて、俺は皮肉な風情をたっぷりと込めた、わざとらしい驚いた態度でこのようにとぼけつづける。   「…そうでしたか、お兄さんはマゾヒストだったんですね…、いやぁまさかね…正直思ってもみないことでした…。俺の頬に唾を吐きかけてきたり…、ああして俺のことを散々(はずかし)めておきながら…――まさか俺にあんなことをしてきたユンファお兄さんが…ふふ、…まさか俺の仕返しを期待していたとは……」   「……、…、…」    ユンファさんが悔しげにその下がった口角を震わせながら、涙をこらえているようにその唇をやや横に引き伸ばす。――俺はその屈辱の苦痛の顔を見上げながら、この両目を細める。   「…へえ…俺が思うより変態だったんですね、ユンファお兄さん…――いやぁ()()()()()()()、びっくりです…。ふッ…ふふ…ックククク……」  俺は大そう愉快だった。  ざまあみろ。   「……ッ、……」    俺のことを睨み下げてくるその切れ長の細目にはしかし、マゾヒスティックな嬉し涙がたっぷりと溜まっている。ほろ、つーーと真っ赤にそまった彼の片頬にその涙が伝う。  ……そして俺の勃起にもつーー…と透明な細い糸が垂れ落ちてくる、彼の膣口から「嬉し涙」が――。   「……ふ、それで…? 俺にどうしてほしいんでしたっけ、みっともないドマゾのユンファお兄さんは……?」   「……、…ッ、……ッ」    俺を睨みつけるユンファさんの、涙に濡れた艶のあるまつ毛が黒々として、その険しい切れ長の目の鋭利さをより際だたせている。  しかしそうした腹立たしそうな泣き顔で俺を見下ろしてくるわりに、彼はなかば怒ったような調子でも詰まり詰まり――。   「…つ、償いにはなりませんが、…ど、どうしようもない変態の、…ど、ドマゾのユンファお兄さんのこと…っ、どうぞいっぱい、…ぃ、…――いっぱい、…いじめて、…う…っ憂さ晴らし、してください、ソンジュくん、…」   「……あーあ、言っちゃった…」    俺はほくそ笑みながらあえて呆れた風にこう言った。すると彼は悔しげにその涙目を伏せ、その震えている赤い上下の唇をぎゅっと隙間なく合わせる。  しかし俺はその顔をじっとりと眺めあげながら、わざとらしい悠々とした調子でこうつづける。   「よかったんですかユンファお兄さん…? そんな(みじ)めなこと…年下の()()()()()()()なんかに言っちゃって……ふふ、しかも――おまんこからいやらしい愛液、俺のちんぽにたらたら垂れ流しながら…、ねえ……?」   「……は…?」    とユンファさんは一瞬いい加減なことを言うな、と俺を見て不快げにその切れ長の目を細めたが、   「……、…ぁ……」    すぐに頭を下げ、俺の下腹部に寝ている勃起――たらーと上から垂れてくるユンファさんの愛液によって蜜がけとなっている、俺の薄桃のスキンを身にまとった勃起――を見下ろしたことで、やっと自分が愛液を垂れながすほど興奮していることに気がついたらしい。  ……しかしまあ、彼はそれに気がついてよかったのだろう。   「……ぁ…、ぁ…、…ぁ……」    と失意に呑まれたような声をもらしていた彼はたちまち、   「…ぁ……、あぁ…っ♡ は…♡ は…♡ は…♡」    こう上ずった速い吐息をもらしながら、ひくひく、ぶるぶるぶるとその下腹部を痙攣させたり震えさせたりして、   「ぁ…ぁ…♡ ごめんらさ、♡ ごめんらしゃい、♡ …ごめんらひゃいごめんらひゃい…♡ ぁーいく…♡ ぼくのやらしいざこまんこィ…♡ …ッぁ、♡ ぁあぁ…ッ♡♡♡」    とうなだれたまま、ビクンッ! とその下腹部を跳ねさせ、ビクンビクンと根本から振れる上向きの勃起のその濃い桃色の亀頭、その小さい尿道口からどろ…どろーと白濁した精液をたれ流しながら、その内ももをぶるぶる震わせている。    ――ユンファさんはどうやらマゾヒスティックな歓びを極めてしまったらしい。  ……俺はそのビクンッビクンッと上下するように跳ねているお尻、その人の膣口にぴとと立てた勃起の先端をあてがう。スキン越しの先端にもそこのぐぱ…っぐぱ…っと甚だしい収縮と弛緩の動きが伝わってくる。  つまり彼、いわゆる「脳イき」も甘いそれではなく、極まりに極まった有頂天までのそれをしているということである。   「イきながら挿れてください」    しかし俺がそう声をかけるも、   「…ぁ…ぁ…♡ …ぁぁ、ぁー…――♡♡♡♡♡」    どうもそれどころではなさそうなユンファさんは、うなだれたままその内ももをビクッビクッと痙攣させて、いまだ極楽浄土を漂っているらしい。ので、俺は片手でその人の腰を掴み、ぐっと押し下げる。   「……ッぅあ゛…っ♡♡」    すると当然ずぷんっと、ぎゅうぎゅう収縮している彼の膣口に俺の亀頭が呑みこまれた。いや、もちろん多少の硬い反発はあったが、俺は無理やり力ずくでそれの頭を彼の内紛()只中(ただなか)にあるそこに押し込んだのである。――さらに俺は両手で彼のその細い腰をつかみ、ぐんっと一気に下ろす。  そうしてばちゅんっと一瞬で挿入が済むと、   「ッカは、♡ …――――っ♡♡♡♡♡♡♡」    声も出ないほどの凄まじい快感に全身をガタガタ戦慄(わなな)かせているユンファさんは、俺の下腹部にその腿を両方乗り上げさせて内またになりながら、腰を深くまるめてうなだれ――自然とその両膝のやや上にそれぞれ左右の手首を着けると、力みすぎたあまり反れた手の甲、爪を立てた猫のように曲がった十本の指、その不可思議な形の両手をまでぶるぶると震わせてしずかに身悶えている。  ……もはや彼の膣内の収斂(しゅうれん)もまた、咥えこむ俺の勃起へ向けて全方位ぎゅーーっと持続的に締まってはふっ…と一瞬緩み、またぎゅーーっと締まってはふっ…と一瞬緩む、というような通常の絶頂のそれではない。  しかもぎゅーーっと締まるその瞬間、俺の太いものに前立腺が圧迫されるせいか、とぷ、たーー…っと、ときおり縦に首を振るその前向きの勃起から精液までたれ流している始末だ(なおその白濁した熱い粘液は俺の下腹部をつたってどろどろとベッドに流れ落ちてゆく)。――そして締まる瞬間のそのあまりの力強さは、若干俺のほうにも苦悶を与えてくるくらいである。   「……っふ、…ありがとう、…は?」    しかしまあサディストのスイッチが入っている俺は、自分の快感に気を取られて切羽詰まるような無様なことにはなりにくい。たとえその快感の程度が甚だしかろうとも、俺にはそれにも勝るサディストとしてのプライド、譲れないその確固たる信念があるからである。   「……へ…?♡♡ ……?♡♡ ……??♡♡♡」    すると一応は俺に何か言われた、いや、何かしらをサディストに「命令された」とはかろうじても認識しているらしいユンファさんが、俺の顔を朧げな弱々しい目で見下ろす。しかしどうもその内容までは理解できているとは思えない(ほう)けた顔をしている。  とはいえ――彼にしても、これはプライドや信念というのではないが、マゾヒストとしてサディストの命令にはどうした状態でも応じなければならない、という習性が身に染みついているようだ。   「…あ・り・が・と・う…は? ユンファお兄さん…?」    と俺は――先ほどのユンファさんと全く同じ――低い神経質な声で彼にやり返す。  すると俺のことをぼーっとした目で見下ろしているユンファさんは、はぁ、はぁと上ずった乱れた呼吸を一センチほどひらいたその赤い唇の隙間からくり返しながらも、ぼんやりとした恍惚の表情をわずかに傾ける。   「……へ…?♡♡ (らに)…?♡♡」   「……ふふ、…貴方、(とろ)けすぎ……」    やはりセリフの内容を理解するには及んでいないらしいユンファさんに、俺は子どもに言い聞かせるようなゆっくりとした調子で、このように指図する。   「…ですから…“おちんぽありがとうございます”、は…? 欲しくて欲しくて…おまんこからいやらしい(よだれ)を垂らすくらいに欲しかった俺のおちんぽを、ユンファお兄さんは俺に挿れてもらったんですよね…。――ならば…“ユンファお兄さんのおまんこに、ソンジュくんのおちんぽ挿れてくれてありがとうございます、嬉しいです”…でしょう…?」   「……ぁ…あぁ…♡ うん…♡ うん…♡」    すると今度は何とか理解したらしいユンファさんが、とろーんとした目で俺を見下ろしながらコク、コクと浅く二度うなずいた。そして彼は甘く喘ぎながらもこのように微笑して繰り返す。   「ゅ…ゆんふぁおにいさんの、おまんこにぃ…♡ そ…そんじゅ、くんの、…はぁ…♡ おちんぽ、いれて、…くれてぇ…♡ ぁ…ありがと、…ございまひゅ…♡ …う、うれひいれす…♡♡」   「……よく出来ました、ユンファお兄さん…」    俺がそう微笑しながら彼を甘い声で褒めると、その人のいまだきゅうきゅうと甘やかな収縮のおさまっていない膣内がきゅんっと悦ぶ。       「…ふふふ……さあユンファお兄さん…? 今から貴方の可愛いソンジュくんが、お兄さんのことをたっ…ぷりいじめてあげますからね…――。」          

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