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初めての結婚記念日――贈り物は黄色い薔薇が二本……、
それと…――貞操帯。
貴方のすべての言動の裏には利己的なメリット・デメリットと、狡知 が張りついている。
いつも狡猾な貴方は、俺に本当の意味では甘えたことなどない。
いつもしたたかな貴方は、俺に本当の意味では弱味など見せたことがない。
いつも冷淡な貴方は、俺をいじらしく誘ったりなどしない。
世間擦 れした貴方は、何も恐れてなどいない。
いつも非情な貴方は、誰かを愛することなどない。
貴方は永遠に、俺のことなど愛さない――。
何を驚くべきことがあっただろう?
過去を思い出せば思い出すほどそう思われてきてしょうがない。――俺はユンファさんの裏の裏を行こうとして、自 ずから迷宮に迷い込んでいただけだ。
馬鹿の一つ覚え――『何故 なら貴方を愛しているからだ』
ユンファさんは俺にそう言われることをいつも嫌った。
口だけならば何とでも言える、と。
だが今に思えば当然である。
彼の目に俺はほとんど、過去その人を苦しめ、果てには殺人未遂のカルマをまで背負わせたかの男――それと同じような最低な男と見えていたのだから。
その男も口癖のように言ったのだという。
――『ユンファを愛しているからだよ』
だが、俺とその男は違う。
きっと――。
俺はユンファさんに貞操帯 をつ けたその日に、つまびらかな説明をした。――これまで俺が、なぜ必ずスキンを着けてユンファさんを抱いてきたのか。
何ひとつ誤魔化さず、包み隠さず、すべての真実を彼に打ち明けた。
なお、それは共に浴室で入浴をしているときに話しはじめたことであったが、俺が「愛しているからだ」とかのセリフを口にしたばかりに、ユンファさんはその話のさなか、怒った様子で出ていってしまった。
だが俺は、それが彼の癇 に障 ることをわかっていてそのセリフを口にしたのだ。――俺とあの男は違う。
……それを示すための取っ掛かりに。
とはいえ逃げられ、その場にその人がいなくなってしまったんじゃどうしようもない。
ために俺はすぐに追いかけ、捕まえ、寝室に引っ張りこみ、ベッドの鎖につなぎ……たいところではあったが、ひとまずは穏便に……すぐに追いかけ、脱衣場で気まずく彼とともに服を着て――もちろん再度バイブ付きの「貞操帯 」をつ けて――、あらためてリビングのソファに彼を座らせて、その隣で、逃げられないようにとその人の手首を掴んだまま、真摯 にあの話のつづきをした。
しかし、そのときユンファさんは終始黙りこんでおり、むっとした表情でうつむきつづけ、そしてその伏し目は一度も俺を見ることはなく――俺の話が終わってもなお、その人はしんねりむっつりといった様子で、最後には「だから、何。」と一言だけぼそっと口にしたなり、神経質な素早さでさっと立ち上がると、その早足でキッチンへと歩いて行った。
……しかしそうして不機嫌であったわり、そのとき彼は夕飯の支度をしに行ったらしい。――まもなく調理の音が聞こえはじめたのだ。
いつもは間男と会う前、すなわち朝のうちに俺と自分の食事の用意をすませる彼だが、この日は昨夜から昼まで――ベッドの上にバイブ諸々 を装着された状態で拘束されて――寝室にいたので、必然的にその用意も昼下がりのそのとき、となったわけである。
しかし俺はまあいいか、とソファに座ったままユンファさんの背を見送り、そうして彼を追いかけることはもうしなかった。
彼にも少し一人で考える時間は必要であろうし、何より、もう間男らとは会おうにも会えまい。――どうして夫 に 鍵 を か け ら れ て いて、セックス などできようか?
まあとはいえ、所詮 その貞操帯のベルトは革 や布やでできている以上、ハサミで切ろうと思えば切れる。――つまり俺が鍵を開けてやる他にも、それを外す方法はあるのだ。
しかし、そもそも俺はもう男らを我が家には断固立ち入らせない。――少なくともあの男らには、もう金輪際鍵を開けてやることはない。
ましてや――きっとユンファさんは、自ら貞操帯を外すことはしないはずである。
彼が間男らと会うことももうないだろう。
俺は久方ぶりのその安堵感に気分よく、リモコン付きの鍵を持ったままソファから立ち上がると、今夜を楽しみに自分の書斎兼自室へと引っ込んだ。――
そして夜八時、仕事を終えた俺が――昼に着た黒いカッターシャツに紺のベストとスラックスのまま、着替える間も惜しんで――リビングへ行くと、ダイニングテーブルに包装紙にくるまれたまま放置されていたはずの黄色い薔薇が、そのテーブルの上、ガラスの花瓶に活けられていた。
俺はそれを見て、思わずにやりとした。
これは間違いなくユンファさんが活けたのだ。
しかし、リビングにユンファさんの姿はなかった。
それもめずらしいことに、彼は自分の食後の食器をキッチンのシンクのなかに、洗わないまま放置していた。――普段神経質なほど完璧に家事を完遂 する彼が、である。
今日の俺にはそれさえも喜ばしいものと見えた。
それはそれだけユンファさんの心に、俺のかけた「鍵」が、または俺の話が、あるいはそのどちらもが響いた、もっといえば、あの彼が捨て鉢となるほどの深い爪痕を残せた、ということの証左に違いないからである。
さて……ユンファさんは寝室にいた。
照明の一切を灯さないその暗闇の寝室で、彼はベッドの上、ほとんど頭頂部をしか露出しないほど深くかけ布団をかけ、…ふて寝しているのか、はたまた……。
俺は寝室に、特別足音を忍ばせもせず入り、カチリとベッドサイドランプだけを灯した。
するとそれの暖色のやさしい光が、そのベッドの上、中央の白いかけ布団のふくらみを照らす。――彼はこちら側に背を向けているらしい。とは、かろうじて見えているその頭頂部も、その人の額の生えぎわは見えないために推測したことだ。
そして、ギッ…とベッドのふちに腰かけた俺は、脚を組み、腰をひねって、そのふくらみを凝視する。
「…………」
「……ッんぁ、♡」
今にビクリとしたそのかけ布団のなかから、小さな甘い声が聞こえた。
それは――ヴーー…と鈍いかすかなこの音も表すとおり――俺が手にもったリモコンで、今彼のなかに沈みこんでいる細身のバイブを震わせたせいである。…なるほど、空寝だったようだ。
……それもやはりユンファさんは、その貞操帯を――外す術 はあるというのに――なおも着けたままにしている。
俺はリモコンをランプの下に置いてから、強盗の手つきでそのかけ布団をはぎ取った。
そしてユンファさんが「あ、」と言っている間にも、やはり自分に背を向けていたその人の肩を掴んであお向けに組み敷き、その驚きに薄く開かれた紅い唇に、唇で襲いかかった。
「んっ…んん、…っ!」
ユンファさんは唇を俺の唇に揉 みつぶされながらも、俺の両肩を掴んで押し上げようと試 み、さらには俺の体の下でその身を激しくよじっている。――だが、俺は白いTシャツを着たその人の胸板を力任せにもみしだく。
「…ん、♡ く、…ッゃ、…」
二つの唇のわずかなすき間からもれた「や」――「いや」――俺はそれを聞いたなり、怒ったふりをして、その人の白く美しい首筋にむしゃぶりついた。
「…ぁ、♡」すると小さい嬌声をこぼしたユンファさんだが、俺の両肩をぎゅ…とつかみ、そして声を震わせてこう悪態をつく。
「……い…ッ嫌、嫌だ、…っそ、ソンジュ、…やめろっ、そんな気分じゃ、…お前とセックスなんかしたくない、…今更…っだ、だ、抱かれたくないんだよもう、お前なんかに、…き、キモい、やめろ、…」
これは強がって――精一杯し た た か な 肉 便 器 を演じて――俺を拒もうとしているのだ。しかし拒みきれずに、口ではそう言いながら、彼はただ俺の肩を握っているだけである。
「……ッ!」にわかに彼がビクンッ! と怯えたように、大きく体を跳ねさせた。
「……、ま…待って…待って、ソンジュ…」
そしてユンファさんは途端に弱々しい、泣いているように上ずった蚊の鳴くような声で、そう俺を止めようとする。
「待って…いや…、嫌だ…、嫌だよ、ねえ、ねえやめて、…やめてよ…ねえ、――い、今更、…今更何のつもり、…今更、…今更、…」
いやだ、やめて…しかしそう嫌がっているくせ、俺の肩をそれぞれ掴んだままの彼の両手からは力が抜け、今や添えるだけというようになっている。
そしてユンファさんは、涙の震えを帯びた喉を使って、泣きながら俺を責めるようにこう言った。
「今更、…キスマークなんか、つけないで、…」
ユンファさんは先ほど怯えたのだ――いつものように優しいだけではない、俺の唇に咬 みつかれたその一瞬の微量の痛みに。
「……、…」
俺は何も答えずに唇を離し、そして腕を立て――眺め下ろす。
ユンファさんのその長めな美しい首筋、そこの生白いきめ細やかな肌には――昨日間男のつけたものの他、さらに今俺がつけたばかりの、つやめいた数個の――1.5cmほどの輪郭がにじんだ紅 い丸が、色深く浮かんでいる。
「何故つけてはいけないの」
俺はその己れの唇の痕を見下ろしながら、ぼそりと言う。
「貴方は俺だけのものだ…――貴方はあくまでも、始めから俺だけのものだった…。そしてこれからも、永遠に貴方は俺だけのもの…――それなのに…」
そして俺は「何故……?」と尋ねながら、つと目を上げてユンファさんの顔を見やった。
彼の俺を睨みつける切れ長の目はしとどに涙に濡れていた。また、彼の悲しげにしかめられた顔はうす赤い。
「な…何故…って、…な、何…言って…――ど、どうし…、どうしたんだよ、ソンジュ…――何が…何があったんだ、こんな、…こんないきなり、ソンジュ、だって、…君、一昨日 …一昨日まで、君、…」
「〝いつも通りの負け犬〟だったのに、昨日今日になって、何故こんな獣に豹変したんだ…――貴方はそう仰言 りたいんでしょうけれど…しかし、貴方の俺へのその認識は些 か誤謬 しています。」
俺はおもむろに頭を沈め――ユンファさんの険しく強ばった切れ長の目に、自分の両目を迫らせた。
美しい涙の池のなかで溺れてゆらめく赤紫の瞳を、俺の水色の瞳は捉える――あるいはこれに縋れと、貴方が今もこれからも縋れるものはたったこれだけしかないのだと、押しつけがましい救いで絡め取る――。
「俺はまともではなかったんです――生まれ付き。」
「……、…――。」
ユンファさんはハッと目を見開いた。
そのときはらりと、彼のまなじりからは涙がこぼれ落ちた。――
その後俺は思うまま、ユンファさんの体に少々荒っぽい愛撫を施した。――いいや、愛撫というより恣の前戯、前戯でもないと言うのなら、単にしたいようにするだけ、そうした利己的な己れの興奮のために、彼の体を嬲 ってやった。
まずは彼の白いTシャツの上からその乳首を――昨日一晩中、吸引の上その先端をやわいざらついたシリコンの舌にねぶられつくしたせいで、チェリーピンクに色づいたその乳首を――、その白い布に淫靡 な赤らみが透けるほど、片方ずつじっくりと舌先でこね回し、ぴんぴんとはじき、そしてときどき、ぢゅうっと布にしみ込んだ唾液をすべて吸いとるつもりかのような力で吸った。
無論もう片方を指で嬲るのも忘れない。指先ではじき、先端をカリカリと引っかき、ぷにぷにとつまみ、あるいは、より粒立たせるようにつまんだまま軽く引っぱり、…
するとビクッ…ビクッと腰を跳ねさせながら、
「ん、♡ ……んん、♡ ッふ、♡」
と苦しげに――しかし甘く上ずった――声を、それでもこらえているようだったユンファさんは、
「ん…ぁ、♡ …っあぁ、♡ ァ…や、♡ そ、ソンジュ…い、痛い…――痛いよ…、そんなに強く、吸わないで……」
としばしば「痛い」ともらしたが――当然である。見るからにそうだが、昨夜のことで彼の乳首は今炎症を起こしている――、そのわりにその声はほとんど嬌声といえるものだった。まして、俺の頭や肩や押しのけようとするでもない。
よって俺はにやけるだけで彼のそれを無視し、なおも執拗にその乳首をばかり責めつづけたが――俺が軽く前歯で彼の乳頭を噛んだとき、ビクンッ! とその胸板を突き出しながら、
「ああっ痛い、♡ やめ、っやめて、…」
と艶を帯びた声をより一そう張って痛がり、身をよじって嫌がったユンファさんに――俺は「わかりました」と、やめてやったのである。
その代わり――。
ユンファさんの痩せた細い手首を両方、革の拘束具でベッドヘッドに固定し――荒っぽい手つきで彼のTシャツの裾をまくり上げたあとは――見せつけるように、やや上のほうからその人の乳首に唾液を落としてやった。
そうして俺の下唇の上に少し乗った舌先から、たらー…と蜂蜜の落ちるような速度で流れおちゆく、細い一条の透明な唾液は、彼のぷっくりと小粒に膨らんだ、濃いピンク色の乳頭をその透明な膜で覆うてゆく。
「……、…、…」
そしてその静かな――しかし淫猥 な――光景を怯えた伏し目でただ凝視していたユンファさんは、しかしその腰を甘美にわななかせ、は、は、と呼気を弾ませていた。
さて、俺はそうしてぬめりを与えたユンファさんの両方の乳首を、たっぷりと嬲ってやるつもりである。
筆で――ただし何も専用というほどのものでもない、小学生でも使うような、ありふれた書道用のナイロンの筆で。
なおそれは下ろしたての、糊 をほぐしたばかりの新品だ。――なぜといえ、この筆は俺がユンファさんを調教するためにこの折購入したものだからである。
さあ、まずは…純白のやわらかくもコシのある筆先が、ユンファさんの雪のように冷ややかな白皙 の胸板を自由気ままにすべる。――しかしその進みはいやらしいほど緩徐に、核心には迫れどその乳輪のふちを通るばかりで、いまだ頂きには到達せずに、遊んでばかりいる。
だが、そのこそばゆさにぞくぞく…とそのなめらかな白い肌が粟 立つのが、また何ともやりがいを感じさせることだ。
そして……、
「……は…、ん……」
斜め下へ顎をひいたその美貌に、哀艶 の表情を浮かべているユンファさんの、その伏せられた長い黒いまつ毛が怯えるように慄 えているのが、俺のことをひとまず満足させる。
だが怯えているようでいて、その筆の毛の密集した極細い一本一本がかすめるように肌を引っかく、そのこそばゆいようなさざめく快感は、その白い柳腰を薫 らせ――かと思えば、ときどきびく、と鈍く跳ねさせるのだ。
……つまりユンファさんは感じている。感じているが……ましてや、いまだその黒いハーフパンツのなか、解錠されない貞操帯のバイブの震えは止めてやっていない上に――火照った両方の乳首が、俺の唾液に濡れているせいですーっとした少しの冷感を覚えているだろう、ともあれば、なお今は焦らされてたまらないはずである。
しかし、このもどかしさを与える愛撫こそは、ユンファさんの望みどおりのそれであるはずだ。
「これなら痛くありませんね…、ねえユンファ…?」と俺はだから優しく確認してあげた。
「……、…、…」
だがユンファさんはその斜 へ伏せたままの顔を、困惑気味に曇らせただけである。
「貴方が痛いと言うからこうしてあげたのに、無視…? ねえ。」
何も答えぬその人を叱らねば――と、乳輪の周りをくる…くると筆先で円くなぞり、それを見下ろしながら、俺は声を低める。
「聞いているんだ…俺が。貴方の夫の、俺が。――ねえ…これなら、痛くないよね。」
つと上目遣いにまたユンファさんの顔を見る。と、彼はきゅっとつらそうに目をつむり、
「……、…、…」
恐ろしそうに何度も浅くコクコクと首肯 した。
だがそれでは許さない。
「…んふ、おかしいな…、ねえユンファさん、貴方のこの色っぽいお口は…」俺は筆先で、震えているその肉厚な紅い唇をくすぐる。
「一体…何のためについているの……?」
するとユンファさんは、ぎゅっと煩わしそうなしわを眉間に生じさせながらも、
「……っんぷ、…は、…ぃ、痛くは…な……」
と答えようとした。しかし俺は「そうだね」と優しい声で遮 る。
「そう…俺のためだけについているんです…、ね、ユンファ…――俺とお話しをするために…、俺とキスをするために…、俺と食事をするために…――俺の体を舐め、俺のちんぽを舐め…夫の俺に快感と幸福をもたらすために…――ユンファのこの美しい唇は、俺のためだけについている…。…ねえそうでしょう、ユンファさん……」
すると……、
「……、…」
そっと薄目を開けたユンファさんは、その伏し目に酔っているような火照りを帯びさせ、唐突にぼんやりとした表情になる。――ぞっとする。
「……ふふふ…、あぁ綺麗……」
あまりにも美しすぎて…――ぞっとする。
俺はゴクリと喉を鳴らしながら、その人の片頬に顔を寄せ――筆は一旦彼のあばらとベッドのみぞに置き、そのままそのあばらをゆっくりと撫でまわす。
「…ほら、言ってユンファ…――〝僕の唇はソンジュのためだけについています〟って……」
「……僕…」
すると危ういほどおぼろげなユンファさんの声が、言う。
「僕の…唇…、唇は…ソンジュの、ためだけに…、ついて、ます……」
それもそのうつろな顔をした美男子の頬は、言いざまじゅわりと紅潮を濃くしたのだ。――あまりにも順調で怖いほどだ。
「……んふ…いい子だ…」と俺は甘やかすための格別の声で褒めたのち、ちゅ、とその頬に口付ける。
それから…、
「じゃあ、ご褒美をあげましょうね…、……」
と俺は顔を引き、また筆を手に取る。
そして――やっと彼のぷっくりと腫れた乳頭を、筆の先でくる…くるとくすぐってやる。
「…ンあっ、!♡♡」
すると、ビクンッとユンファさんの下腹部が突き出され、にわかにその美貌は快感に歪 んだ。
ややチクチク、ざらざらとした筆先が、ぬるぬると俺の唾液をたっぷりと纏 うたその乳頭を――炎症を起こし、普段よりも格段に鋭敏になった乳頭を――もてあそぶようにゆっくりとねぶっているからだ。
しかし、ささいな痛みにも近いその快感は、いささか今の彼には強すぎるのか、
「あっ…!♡ うぁ、♡ やっ…やあ、!♡ やだ、っふ、♡ ッあぁ、♡ あ、あぁあ、♡ やっやだ、やっ…!♡ ぁ…っ♡ あぁ…っ!♡♡」
とユンファさんは苦しげな甘い声をあられもなくあげながら、ビクンッビクンッと跳ねる細身をよじって逃れようとはするが――もちろん両手首をベッドヘッドに拘束され、また、その膝の立てられた両脚のあいだには俺の腰がはさまっていては、逃れようもない。
俺はこう言いながら、ツンツンと穂先 でその乳頭の先端をつつく――するとこれはナイロンともあって、極細の無数の針の先でつつかれているようだろう――。
「〝嫌〟じゃない…ほら――〝気持ちいい、もっと僕の乳首をいじめて〟…は……?」
しかしユンファさんは左右に激しく頭 を振って、喘ぎながら泣き叫ぶようにこう言う。
「んあっ…!♡♡ ぁ、♡ ぁ、♡ やっやめて、おかしくなる、♡ …それいァぁ……!♡♡」
「ですから…、ねえユンファさん、俺の言うことが聞けないの……? ――〝約束〟でしたでしょう……」
穂先をズッとその膨れた乳頭に押しつける。とその穂先は割れて乳輪に広がり――そうして彼の乳頭に、ある筆毛は突き刺さり、またある筆毛にはそこを強くこすられては、
「あ゛っ…!♡♡♡」
ぐっとその腰はお尻から上がり、ビクビクビクと弓なりに反れたユンファさんの背が小きざみに痙攣する。
しかし俺はさらに、毛の束に包み込まれた敏感な乳頭、そして穂先の広がった乳輪をそのまま、ぐりぐり、ざりざりと筆を回転させて、こする。
「〝これからは俺の言うこと全てに従う〟…、今日その〝約束〟をしたばかりだというのに、貴方はもうそれを反故になさるおつもり……?」
するとユンファさんは、その快感には――微細な無数の毛に今炎症を起こしている乳首の全体をチクチク、ゾリゾリとこすられる快感には――もはや目をも開けられないか、ぎゅっと目をつむり、なお深まる苦悶の表情をうかべたその顔を、ふるふると横に振る。
「あぁ、!♡ ふっ…ンぁ、♡ あぁ、♡ ぁ、♡ あっやっ…!♡ ち、ちが、…ちがうっそ、そうじゃ……!」
「じゃあ…何て言うの……?」
と俺はなおもザリザリと筆を回転させながら尋ねる。
しかし、
「……っ、…ぅ、♡ ふっ…♡ …〜〜〜っ」
……ユンファさんはかえって唇をぎゅっと閉ざした。
「……、悪い子だ…――これはお仕置きをしないと……」
とはいえ…:—この拒絶も想定のうちである。
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