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僕の知らなかった世界

 僕のことをそっとベッドに下ろすと、デュラハンの頭も器用に自力でベッドの上へ。  いつものことながらながら、手も足もないのにこいつはいったいどうやって動いているのだろうと不思議でならない。  ……本当に、謎生態すぎる。  そんなどうでもいいことを考えていたら、彼の身体が再び僕を優しく抱き寄せた。  そのため僕は彼に身を任せ、おとなしく全身の力を抜いた。  遊び人としか思えない頭部同様、身体の方もどうやらこういった行為には慣れているらしい。  それが不快じゃないと言えば、たぶん嘘になる。なのにだからといって突き放せないくらい、僕はいつの間にか彼のことが好きになってしまっていたらしい。  身体の方とは今日が初対面だったはずなのに、デュラハンからいつも彼について話を聞かされていたから、はじめましてな気がしない。  どころか優しく抱きしめられるとほっこり幸せな気分になったり、ドキドキしたりしてしまうのだからちょっと困る。  彼は器用に頭を抱え、僕の口元へ。そのため自然と唇と唇が、少しでも動くと触れ合ってしまうくらいの位置にデュラハンのきれいな顔が見える。  ニッと笑って、目を閉じるデュラハン。これは、つまり……。僕の方から、キスをしろってことだよね?  めちゃくちゃ恥ずかしかったけれど今度は僕の方から動き、ふたりの距離をゼロにした。  すると彼の舌先は器用に僕の唇を割り、ぬるりと口内に侵入しようときた。  それがどうしても恥ずかしくて逃げようとしたら、大きな手のひらで後頭部を支えるみたいにして退路を奪われてしまった。  腹立たしいくらいに、見事なチームプレイ。  なのにやっぱりイヤじゃなかったから、覚悟を決めて自らの意思で唇を開いた。  労うように優しく頭を撫でながら、荒々しく舌先を絡め取られて。キスに夢中になっている隙に、彼の指先が僕の胸の頂に触れた。 「んっ……!」  突然与えられた刺激に驚き、もれ出た自分のものとは思えないくらい卑猥な声。それにたえきれなくて、ぎゅっと彼のたくましい身体にしがみついた。 「かわいい、亮太。もっとその声を声、俺たちに聞かせて」  いつもとは異なる、少し上ずったような色気のある声。  耳元で甘く囁きながら胸の先端を摘んだり、軽く転がしたりされるたびに、僕の理性は溶かされていった。  彼の指先が下半身に伸ばされ、ジーンズの上からそっと触れた。  でも僕のそこは、すでに臨戦状態で。必死に身をよじり、彼の手から逃れようと暴れた。 「こら、亮太! 暴れんな。お前ももっと、気持ちよくなりたいだろ?」  クスクスと笑いながら甘くささやく、顔だけの悪魔。  胸をイタズラされただけで、あれだけ感じてしまったのだ。  だからきっとデュラハンの言う通り、僕が素直に身を委ねたさえもっと気持ちよくしてもらえるのだろう。  これまでも生理現象の解消法として、自分で処理をすることはもちろんあった。  だけど深く快楽を追うのはなんとなくこわくて、なるべく手早く終わらせるようにしてきた。  ……だけど。 「もっと……気持ちよく……?」  自分でもびっくりするくらい、媚びるような甘えた声。  クスリと笑ってデュラハンは、僕の耳を食みながら答えた。 「うん、そう。もっと、気持ちよく」   誘惑に負けてコクンと小さく頷くとジーンズのファスナーを下ろされ、下着までずらされた。    むき出しになった僕の分身に、彼の手が触れる。  だけどそれはすぐに直接的な刺激を与えるのではなく、焦らすように先っぽを指先でイタズラしたり、気まぐれにしごいたりして僕の心と身体を弄んだ。  ハァハァと息を乱しながら、与えられる刺激にさらに溺れていくのを感じる。  だけど突然、すべての刺激が止んでしまった。  最初は恥ずかしくてイヤだったはずなのに、中途半端なところでやめられるのは辛くて。苦しくて。 「デュラハン……。なんで? なんで、やめちゃうの? もっと、してほしい……」  その言葉を合図にして、彼の大きな手のひらが僕のモノを少し強く握った。 「んっ……、ふっ……!」  激しく上下にしごかれるたびに、情けないくらいはしたない喘ぎ声があふれた。

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