16 / 47

集中治療室②

【ましろサイド】 青木先生が塗ってくれた痛み止めのジェルが少し効いたようだ また痛くなってきたら青木先生を呼んでもらわなきゃいけないな ガラガラ ひっ!!! 森田先生…… 集中治療室の扉が開き、タブレットを見ながら森田先生がゆっくりとこちらへ向かって来た 隠れなきゃと掛け布団を掴んだが、ここは個室で僕に用事があることが確定していることに気づき、掴んだ手をそっと離した 言葉をかけるわけでもなく、近くにあったイスに腰掛けてタブレットから目を離さない 無言の空間は居心地が悪い…… 触診される予感がして考えただけでお尻がキュッと絞まる ガラガラ また集中治療室の扉が開き、担当の看護師さんが入って来た もうすぐ終わりそうだった点滴は新しい物に交換され、またゆっくりと僕の身体に流れてくる 点滴中は腕をなるべく伸ばしておかなくてはいけないらしく、この体勢も辛くなってきた 目が痒くなってゴシゴシしていたところを伊織先生に見られてしまって危うく腕を曲げられないように固定されるところだった 青木先生はサラッと点滴の針を入れてくれたが、今入っているところが漏れたら、入れ替えをしなくてはいけないらしく、仕事を増やしたくない伊織先生はそれだけは避けたいらしい 僕も針を刺されるのは困るからなるべく点滴が入っているところは安静にしておくことにしよう ましろ「はっ!」 看護師さんが点滴を交換しているところを観察していて、森田先生が近くに来ていたことに気づかなかった 森田「体調どう?」 ましろ「……っんあっ……ふっ…ふつう……です…」 急に話かけられたものだから、しどろもどろになってしまった……しかもまぁまぁ具合悪いのに普通とか言っちゃったし…… 森田「蒼白いけどね」 そう言うと森田先生は首元を触り熱を確認して、体温計を脇に挟み、ズレていた掛け布団を直してくれた 森田先生は測らずとも結果が分かっているのか、担当の看護師さんに追加の点滴を指示していた。 pipipi 森田「38.3℃」 わー……熱全然下がらない。 仕方ない……僕はもう大人しく寝ることにする 森田『エネ持って来て』 電話の相手は伊織先生らしい 森田先生と伊織先生は基本セットで仕事をしているんだと思う 何かを伊織先生が持ってくるらしいけど注射だったらどうしよう 注射系は青木先生にやってもらいたい…… ガラガラ 集中治療室の扉の音が少しだけ憂鬱になってきた ここが開くと何かしら痛いことが待っている。 ガラス張りの窓に、動いたことを知らせるセンサー ずっと見張られている感じがして落ち着かない。 明日にはここを出たいな 伊織「これでいいですか?」 森田「ありがとう」 注射ではなさそうだけど、処置に使うトレーを渡していて嫌な予感がする 森田「前立腺をマッサージする器具を挿れておくから。」 期限のない処置ほど不安なものはない おしっこの管もいつまで挿れられたままなのかもわからないのに、さらにお尻にも器具が入るのか エネなんとかという器具は変な形をしている。 この突起部分が前立腺にあたるらしい。。。 ましろ「無理そう……グスン…」 横向きにさせられて、しっかりと身体を伊織先生に固定された 伊織「案外器具細いから大丈夫だよ」 ましろ「むり…グスン……」 森田「力抜く」 グチュグチュ お尻に冷たいジェルが塗られて、馴染ませるように森田先生の指が出し入れされている ましろ「ちょっと痛い泣」 伊織先生のスクラブを掴んだが、頭を撫でられるだけで助けてはくれない グチュん ましろ「痛い!泣」 森田「動かない!」 硬い器具が入ってきたのが分かり、ビクンと身体を震わせると森田先生に叱られてしまった ツーンとある一点が熱くて痛い。ゴロゴロと中で硬い器具が動くたびに、ある一点に痛みが集中する ましろ「痛い泣」 伊織「ゆっくり仰向け」 ましろ「できない…はぁはぁ…泣」

ともだちにシェアしよう!