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第10話

後ろから彼の体を抱きすくめるとゆるゆると強ばりが解れていく。以前の様に身を委ねてくれてはいるが、背後にいる俺に意識を向けてくれているのが分かる。身体に触れ始めると、刈谷くんの手が俺の手を追い始める。今までに無い反応のあれこれが一気に現れていることに、俺はどうしても舞い上がってしまう。それ故に刈谷くんをいつも以上に甘やかしたくて、執拗になる。荒げたくなさそうな彼を前にした遠慮がちな触れ合いとは違う。今宵は刈谷くんの全部を開いて、ただただ蕩けさせる。無反応、無表情を装う隙なんて与えない。そんな必要は無いからだ。 肩を竦めたり、身を捩ったり、息を詰めたり。控えめだが刈谷くんは多彩に悶える。彼の背中が仰け反る度に嬉しくなる。遂に俺を受け入れてくれたのだとこうもありありと理解出来る。一方通行じゃない。俺は刈谷くんとちゃんと繋がってる。現状に満足してるとあの時はずっと言い聞かせていたのに、こんな極上があったとは。熱を交じらわせている間、刈谷くんの手はずっと俺の手を握り込んでいた。

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