コンドームに付いた潤滑剤のジェルが、ぽたりと落ちた。その瞬間、テオを奥まで迎え入れる。 初めての時は、痛みだけで終わった。回数を重ねるたび、お互いの呼吸や感覚に慣れていった。今ではテオの根元までくわえ込むたび、カミロの奥がじんじんと疼くようになっていた。 「……は、はぁ…」 カミロは大きく息を吐き、テオの背中に両腕をまわして強く抱きしめる。激しく動き出す前、この一体感に満たされる瞬間が、たまらなく好きだ。 「これ、好きだろ？」 テオが低く問う。カミロの体の反応を見て確信しているような口ぶりだ。腰が、ぐっとさらに奥まで沈む。 「…気持ちいい」 素直にそう答えた。硬く熱いそれが、自分の中を貫いている。それが、気持ちよさのすべてだった。 「動いていい？」 「ああ…動いて…くれ…」 ゆっくりと腰が上下に動き出す。ズリズリと擦られながら出し入れされるたび、奥の方で快感がじわじわと膨らむ。擦られると気持ちがよくて鳥肌が立つ。 「うっ…んんっ、はぁぁぅ」 息を漏らす声が勝手に出る。抑えようとしても無理だった。テオの身体がぶつかる音とともに、部屋の温度が上がっていく。 「カミロ…カミロ…」 耳元で名前を囁かれながら、テオが激しく腰を振る。強く、硬く、時にそれは乱暴に中で暴れ回るが、肩や髪を撫でるテオの手は優しい。壊れ物を扱うように撫でられると、息が止まりそうになる。 「…は、は、…い、く…いきそう…」 「俺も……カミロ、出すぞ」 腰が深く沈み、熱が跳ねる。中でびくびくと暴れるそれに刺激されて、カミロも果てた。 その後、テオはティッシュで手慣れたようにコンドームを包んで処理する。 ふと壁に映った影を見ていたら、 「こっち見て」 声に呼ばれて視線を戻すと、笑ったテオがいた。 「…カミロ」 そのまま名を呼ばれ、熱く唇を塞がれる。何度も角度を変えて繰り返されるキス。このキスに名前はあるのだろうか。 「…なぁ、テオ。次は後ろからするだろ？」 終わらないキスを、テオの顔を手で包んで終わらせた。目を見つめながら、カミロが問う。 「お前、バック好きだよな…俺は前から、顔を見ながらが好きだけど。ま、カミロがいいなら」 「何言ってんだよ。お前はできれば何でもいいんだろ」 「違うって。…カミロの顔が見たいんだよ。気持ちよさそうにしてるの、知りたい」 「気持ちいいよ」 カミロはそう言って、四つん這いになった。「ちいせぇ尻…」とテオは言いながら、顔を寄せて、尻にキスをする。 パキッとコンドームの袋を開ける音がして、再び準備が始まる。 「ああっ、あっ…うっ…」 濡れた音とともに、また奥まで一気に貫かれる。カミロの背筋がぞくりと震えた。 「気持ちいい…」 小さく呟くテオの声が、耳に届く。 この体勢は、より深くテオを感じられる。 「動いて」 「いきなり？もう少しこうしてても…」 焦らすように、テオは腰をゆっくりと回しながら出し入れを繰り返す。 「後ろからは…激しくしてほしい」 「…そう言うと、ほんとにそうしちゃうぞ？激しくすると、俺すぐいっちゃうんだからな」 文句を言いながらも、テオの腰はだんだんと大きく動き始める。 「もっと尻を…突き出せる？」 「……うん」 カミロは、四つん這いのまま、背中を反らせるようにして、テオのために尻を高く突き出した。尻の谷間がひくつき、濡れた入口が誘うように開き、テオ自身を奥まで受け入れているのが、自分でもよくわかる。 「は…綺麗だな、カミロ…」 テオの低く嗄れた声が、興奮を帯びて震えているのがわかる。 次の瞬間、熱を持った塊がぬるりと這うように引き抜かれ、その後すぐ、中の奥まで押し入ってくる。潤滑剤の粘つく音がいやらしく響き、挿れられるたびに尻の奥がぎゅうと押し広げられていく。 「んっ、あっ、うう…」 中を突かれるたびに、声が漏れる。テオのそれは、奥を抉るように強く突き上げ、カミロの襞を擦りながら進んでいく。 「これ…好きだろ？こうやって深く…突かれるの」 「っ、あ、ああ…もっと、奥まで…！」 突かれるたびに、内壁がきゅうっと収縮し、テオのそれを逃がさないように締めつける。その感触にテオが呻きながら、腰を思い切り打ちつけてくる。 パンッ、パンッ、と肉がぶつかる音が部屋に響き、ジュブッ、グチュッ、と粘液の音がその隙間を濡らしていく。 「くそっ…締まりすぎて…たまんねぇ」 テオは腰を止めず、狂ったように突き上げ続けた。カミロの身体が押されるたび、壊れかけているベッドがガタガタと音を立てて揺れる。 「テオ…イかせてやるよ…また、俺の中で気持ちよくなって…ああっ！」 カミロは震える声で応え、尻を自分から振り出す。テオとカミロの動きが重なり、奥で何度も擦られるたびに快感の波が押し寄せる。 「出すぞ…中で…」 「っ、うん、は、はぁっ」 カミロの声と共に、奥でビクンと震えたテオの熱が、一気に爆ぜるように注がれる。 中で何度も脈打ちながら、テオが吐き出すたびに、カミロの中が灼けるように熱くなる。 「……はぁ、やば…っ、全部出た…」 テオが抜こうとした瞬間、カミロの尻がぎゅっと動いて、それを止めた。 「まだ、抜かないでくれ…」 「カミロ…？」 「まだ…足りない。もっと…欲しいんだ」 かすれた声で、必死に言った。中は既にいっぱいなのに、気持ちは満たされきっていない。もっと欲しい。もっと、テオを感じたい。 「ほんとに……カミロ、もう俺…我慢きかねぇぞ」 「いいよ…今日は…めちゃくちゃにして」 その一言で、テオの奥が弾けた。抜くどころか、もっと深くに腰を打ちつけ、さっきよりも獣じみた動きで奥を突き上げてくる。 「うわっ、んんっ、ああっ、深いっ…」 カミロの声が裏返る。腰を掴まれ、押さえつけられるように突かれるたびに、体中が跳ねる。 「カミロ…おかしくなりそうだ…」 息を荒げ、カミロの背中に覆い被さったテオは、そのまま肩に噛みついた。カミロの肌に刻まれる歯型。引き裂くような快感と一緒に、身体も心もテオに奪われていく。 「カミロ…もう、どうにかなりそうだ」 「…俺は…どうにか…なってる」 再び奥を抉るように動き出すテオ。カミロは呻きながらも、その全てを受け入れる。声も、身体も、すべて曝け出して、ふたりはぶつかり合う。 この部屋の熱と息苦しさ。肌の音と、叫び、ふたりの感情が混ざる。世界のすべてがここにあるような気がした。