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第51話 初仕事は真柴さん専属のハウスキーパーさんとのことです

「部屋の案内をするからついてきてくれ」 「りょーかい」  ゴミで溢れかえって歩く場所もないような長い廊下を進むと、ようやくゴミが一つもない場所に辿り着いた。  扉を開いた先にはこの家に来て初めて見る光景が広がっていた。 「ここが俺の仕事部屋だ」  撮影の時に使う機材らしき物が、部屋の壁に沿って等間隔に置かれている。  ゴミらしきものはひとつも散らかっておらず、整理整頓もきちんとされている部屋だった。  さっき歩いてきた廊下とは雲泥の差だ……。  桜は部屋と廊下のギャップに目を見張った。仕事に関しては完璧にこなしているらしく、物を大切にしているようだ。  その後、お手洗い、浴室、リビング、キッチン、寝室の順に部屋を見てまわった。  真柴の言葉は本当のようで、仕事部屋にはちりひとつなかったがリビングには部屋干しの洗濯物がそのままになっていたり、洗濯機には洗濯物が山盛りになっていたりした。  キッチンを覗いたらあまりの散乱具合にくらくらと目眩がしそうになった。整理整頓を信条とする桜には受け入れ難い乱れ具合だったのだ。 「俺はこれから仕事部屋で作業をする必要がある。さっそくだが桜には掃除と洗濯を頼みたい。掃除道具は全部リビングに用意してある」  と真柴はキャリーケースを桜に手渡すと仕事部屋にこもってしまった。  シーンと静まり返ったリビングに足を踏み入れる。リビングのソファの上に大きなビニール袋を見つけた。  ソファに腰をおろして袋の中身を確認する。  とりあえず掃除と洗濯に必要なものはビニール袋の中に全部入っていた。ウェットティッシュ、ぞうきん、スポンジ、ビニール手袋、洗剤、柔軟剤などが用意してある。 「ふうん。準備いいじゃん」  それにしても……すごいもふもふのソファだなあ。座り心地神。おしりが癒される。  軽く弾みをつけてソファに座ると、そのままゆっくり沈みそうになった。ここでぐうたらし始めたらハウスキーパーの名を名乗れなくなると思い、桜は大きく伸びをしてからさっそく洗濯にとりかかった。  乾いた洗濯物を全て綺麗に畳んでソファの端に積み重ねていく。下着、ズボン、Tシャツとそれぞれ分けていくと少しは部屋がすっきりして見えて気持ちがいい。  山盛りになっている洗濯物は2回に分けて洗濯することにした。  スマホで調べたら多くのタワーマンションでは外干しができないと書いてあったので部屋干し用の洗剤を入れて、柔軟剤を少し混ぜて洗濯機のスタートボタンを押した。ごうんごうん、と作動音が聞こえてきたのを確認してから次はキッチンと玄関、廊下に散乱しているごみを片付けていく。  苦手な納豆のトレーのほかにも、バナナやコンビニ弁当のトレー、カップラーメンのトレーがそのまま廊下に放置されている。レンチンやお湯を入れたら食べられる簡単なものばかりで、真柴の食生活に不安を感じた。  まあ。仕事が忙しいって言ってたし、家事が苦手ならこうなるか……。  ひとり納得しゴミをかき分けながら分別していると、おそらく最初に用意していたであろうゴミ袋がゴミの山の奥底から見つかった。  頭の紐を縛れないくらいゴミが溢れている。  これ、俺が来なかったらゴミ屋敷になってたんじゃ……。  そう考えただけで桜の体はぷるぷると震えた。  一通り廊下のゴミはゴミ袋に詰めたので、雑巾で拭き掃除をはじめた。  やっぱり、こんな新品きらきらの廊下を汚すのはもったいない。  桜が一生懸命体を動かして拭き終わると、廊下はワックス塗りたてのようにピカピカと光っている。  しっかりとからぶきで水気を拭き取ると、意気揚々と浴室に向かった。

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