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第65話 インテリアショップ巡り
「うわ! すごいおしゃれ……!」
暖房の効いた駅前のインテリアショップには、大型家具から小物家具まで様々な種類の商品が並べられていた。
ひとつの部屋を模した空間に、一人暮らし用のレイアウトで家具が配置されていたり、色味の統一がされていてまるで家具付のモデルハウスを見ているみたいだ。
こういう店に縁のなかった桜ははしゃぐ気持ちを抑えきれず店に陳列されている商品をまじまじと見つめる。そしてそれを自分の部屋に置いたらどんなに快適だろうと妄想を膨らます。
「気に入った商品があれば声をかけてくれ」
「うん。ありがと」
真柴は桜の数歩後ろについてきて店をまわる。平日の昼頃というのもあり客足はそこまで多くなく、ゆっくりと気がむくまま家具が選べそうだった。
「うわ。これなんか部屋にピッタリじゃん」
桜は8畳の洋室に置くとしたら、という想定で家具を探している。和テイストの部屋で最近流行っているのは「ジャパンディインテリア」と呼ばれるものらしい。
店のジャパンディインテリアエリアの説明文を読むと「日本の「侘び寂び」の美意識と北欧の「ヒュッゲ」に代表される居心地の良さを融合させたインテリアスタイル」というものらしい。
ミニマルなデザインでシンプルなコーディネートになるという。桜の部屋にぴったりのモチーフだった。重点的にそれらのモチーフの家具を見ていると真柴が不意に桜の名前を呼ぶ。
「これなんかどうだ? これがあるとあの部屋はお気に入りの場所になるかもしれない」
真柴が指をさして示したのは、3人がけのゆったりとしたソファだった。ローソファのようで座りやすそうだ。
「試しに座ってみろ」
「うん」
促されるままソファに腰掛ける。すると、ふわっと身体がソファに沈んだ。おしりの辺りが柔らかく程よい弾力がある。
リビングにあるソファも座り心地が最高だが、このソファも桜の好みだった。身体を横にしてみれば、手足の先までソファの上に伸ばせて快適だ。高身長にも優しいソファだと感心して値段を見たら思わず絶句してしまう。
「20万か。素材がいいんだな」
「いや、高すぎ……他のを探すよ」
やっぱりインテリアって高いよな。
しょんぼりとした顔が真柴にバレてしまったようだ。気遣うように肩に手を置いてくれる。
「好きなものを買えばいい。桜には俺の世話を焼いてもらうんだ。自分の部屋で休む時くらいお気に入りのソファでゆっくり休んで欲しいんだ」
「真柴さん……」
ぎゅううん、と真柴の漢気に好感度が最高点まで到達する。
結局、その日は20万円するソファを買ってもらい後日郵送で届けてもらうことに決まった。るんるん気分の止まらない桜は今にもスキップしてしまいそうなくらい気持ちが高ぶっていた。
真柴はそんな純粋無垢な笑顔の桜を見つめて微笑んでいるだけだった。
俺の飼い主はすごく優しくて懐が深くて最高の人です。
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