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第80話 割れた太陽(side 真柴)

「睦月。今日も行くんか?」 「はい」 「気をつけるんじゃよ」 「はい。また朝には帰るので」  その日の仕事を終えた俺はそう言い残すと、街へ飛び出した。 ◇◇◇  雨の中、傘で雨水を避けながら歩いていく愛弟子の後ろ姿を、田中氏は見えなくなるまで見つめていた。  時計を見ると午後8時過ぎ。  睦月がどこへ行き何をしているかは田中氏も知らない。  そしてそれを聞くようなこともしない。  田中氏は信じていた。  いつかきっとまたあの明るい笑顔の睦月が戻ってきてくれることを。

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