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第107話 好きだと言って(R18)
真柴が澄ました顔で桜の膨らみをボクサーパンツの上からはむはむと噛み付く。噛み付くと言っても、優しくあむあむされているだけで痛みはない。むしろ、薄い布越しに真柴の吐息を感じてもどかしいくらいだ。
そうこうしているうちに、桜の昂りはさらに上を向いた。ボクサーパンツを持ち上げ苦しそうにしている。身体中の熱が下半身の一点に集中している感覚に、おしりもひくひくと疼き出す。長らく何も受け入れていなかったそこがスムーズに機能するかだけが、桜の不安要素だった。
不意に、真柴がボクサーパンツのウエスト部分を歯で噛んでずるりと勢いよく下ろした。ぺち、と桜の昂りが真柴の頬を軽く打つ。申し訳なさ過ぎて涙が出てきそうだった。本当は自分がやるべき奉仕なのにと焦っていると、真柴は顔を上げて桜の目を見る。
「安心しろ。お前はただ、感じていればいい」
「ひっ……あ」
ぬる、と真柴の熱い舌が幹全体を這う。根元から先端へ何度も舌が行き来する。桜の嬌声は止まず、息も荒くなってくる。
「あっ……んん……そこ、だめ」
「ここがいいのか」
「やっ……ん」
真柴は先端を執拗に舌で舐ってくる。裏筋が1番弱い桜には終わりのない快楽の拷問のように感じた。永遠に腰の中にあるマグマを煮立たせているような感覚に、腰がかくん、かくんと跳ねる。
そして、ついに真柴の口の中に導かれた。口内の熱さと深くまで咥えられた経験が少ない桜にとって、その快感は未知のものだった。真柴は頭を上下に揺らして桜のものを口内に深く導く。口の中は柔らかく、頬の内側に先端が押し込まれると言いようのない愉悦が泉のようにとめどなく湧き上がってくるのだ。
「む、むりっ……で、る……っ」
「出せ」
涙目の桜を見上げる真柴の目は獣のように激しい色を帯びていた。真柴に最奥まで導かれ、桜のものの先端が一際膨らむ。身体にぐっと力が入り、そのまま真柴の喉奥に白蜜を吐き出した。
「あっ……あ」
びくん、びくんと震える桜の腰を抱くように真柴が密着してくる。どくんどくんと、真柴の口内の中で弾けたのがわかる。桜は余韻に飲まれしばらくその姿勢のまま動けないでいた。
「……濃いな」
「見せ、るな……!」
真柴は喉奥に受け止めた桜の白蜜を、あろうことか桜の胸の上に吐き出し指先で掬った。
「初めて口でしたが、気持ちよかったか?」
「えっ? 初めて?」
「ああ」
けろっととんでもない発言をした真柴を見上げる。
(嘘だろ。これが初めてのフェラとか……素質ありすぎるだろ。てか、めっちゃ気持ちよかった……)
「歯に当たったりしなかったか?」
「だ、大丈夫……」
やけに丁寧に心配してくれることに少し恥ずかしくなる。一応、自分のほうが経験値が豊富だと思い込んでいたから。もしかしたら真柴は才能があるのかもしれない。写真や絵だけでなく、そっちのほうも。
謎に納得していると、「気を散らすな」とばかりに真柴が桜の肩に顔を埋めた。ぺろぺろと首筋や鎖骨の辺りを舐めている。なんだか本当に黒のボーダーコリーみたいだ。
その舌の動きは先程とは違いいやらしいものではなく、慈しむようなものだった。そして、はたと気づく。真柴が舐めてくれているのは、過去に桜がクソ客に傷つけられた時の傷跡だということに。
「今更、舐めなくてもいいよ。どうせ、しばらくは跡消えないんだし」
甘い余韻は長くは続かなかった。桜は吐き捨てるようにそう言って真柴の顔を両手で包んで持ち上げた。その時の顔が──。
儚くて、優しい表情だったから。
「いいんだ。俺がしたいだけだから。嫌ならもうしない」
そう呟くと桜の頬を手の甲ですりすりと撫でてくれる。まるで自分が猫になったみたいだ。凶暴な野良猫が、まるでお金持ちの家に拾われて保護猫になったみたいな。そんな安易なストーリーが頭に浮かんではしゃぼん玉のように消えた。
「嫌っていうか……あんまり、思い出したくなくてあの日のこと」
伝えるか迷い、今がチャンスとばかりに真柴に告げた。こうした小さなすり合わせが長い信頼関係を築くには必要だと、嫌というほど理解してきたから。
「悪かった。ムードも壊してしまったな」
しおらしく肩を落とす真柴を見て、苛立ちや怒りは覚えなかった。むしろ、そこまで慈しみ愛を尽くしてくれる人だと知れて嬉しかった。
(こんなに優しい人、やっぱり睦月さんしかいない)
今度は桜が起き上がり、真柴の腰の上に乗った。そこは既に硬くなっていた。ちゅ、と真柴の額、耳の上のとんがりに口付ける。続いて、口はスルーして首筋、鎖骨に強く吸い付いた。真柴はくぐもった声を洩らして桜の背中に手を回す。逞しくて頑丈な腕に囲われてひどく幸せな気分にさせられた。
そのまま、真柴の胸の突起に吸い付く。ちゅうちゅうと吸い付いていると、ぷくりと勃ち上がってきた。
ごり、と真柴のものが更に硬くなり桜のおしりを押し上げた。ぐりぐりと下から押し付けるような動きに桜のものも出したばかりだというのに、再び兆し始めた。
(最近、一人でもシてなかったからな……)
「ねえ、睦月さん。もう、挿れて欲しいな」
「……っ」
我ながら演技っぽく見えたのではと内心焦るが、桜は平静を装い真柴におねだりをする。はやく挿れてほしかった。はやく繋がりたかった。深いところで、目に見えるかたちで。
「……ああ」
真柴が体勢を変えようとするのを桜は手で制する。真柴のボクサーパンツを脱がして、その昂りに先程胸に垂らされた自身の白蜜を塗りつけてゆっくりと双丘に埋める。自重で自然に飲み込むことができてほっとしていると、桜の下で真柴が歯を食いしばり苦しそうにしていた。慌てて真柴の汗ばんだ前髪を指で梳く。
「あ、ごめん。きつすぎる? 痛い?」
ふるふると真柴は微かに首を振る。それを許可と捉えた桜は、真柴の昂りを全て胎内に飲み込んだ。直後、どくんと中で何かが弾けた。
真柴は荒く息を乱して桜の下で腰を跳ねさせる。真っ赤にした顔を静かに自身の腕で隠し、黙ってしまった。
(うそ、挿れただけでイったのか?)
中にはたしかに熱い飛沫が弾けていたのを感じた。まだじんじんとお腹の奥が熱い。
「睦月さん……」
「情けなくてすまない。あまりにも中が……」
「えっ?」
ぐっと押し黙った様子を見て、桜は途端に嬉しくなった。真柴の照れた顔見たさに力ずくで腕をどかせた。すると、そこには──。
「桜の中が気持ちよすぎて、持たなかった」
「……い、いいよっ」
しゅん、と迷子の子犬みたいな顔をしている真柴を見たら桜の母性本能がくすぐられてさらに満たされた気持ちになった。
「桜。今度は俺がお前を抱きたい。次は耐えれるよう善処する」
(善処するって、武士じゃないんだから)
思わず笑いが込み上げそうになったが、真柴の瞳は真剣そのものだったから笑うのは失礼だと思って体勢を逆転させた。
そこからはまるで夢の世界にいるみたいに見える景色が全て美しかった。
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