99 / 100
第99話 ふたりだけの夜 ※
双子が生まれてから、初めて──ほんとうに、ふたりきりになった夜だった。
フェンとリュカは、ようやく夜泣きも落ち着き、今日はシュエットたちが寝室を預かってくれるという。エルは少し戸惑った様子を見せていたが、アザールに腕を引かれ、自室へと誘われるまま足を運んだ。
蝋燭の炎が揺れる寝室の空気は、久しぶりに静かで、そしてあたたかかった。
「……こうして、お前と並んで寝るのも、ずいぶん久しぶりだな」
低い声が耳元で囁かれると、エルは頬を赤らめ、こくりと頷く。
「うん……なんだか、少し緊張する」
「そうか? 俺は……すごく嬉しいけどな」
そう言って、アザールはゆっくりとエルの頬に手を添えた。その手は、大きくて、あたたかい。指先がそっと髪をかき上げ、耳の裏をなぞると、エルの体がぴくんと震える。
──触れられることに、こんなに敏感になっていたなんて。
育児に追われ、抱きしめ合うことさえ減っていた日々。ようやく得たこの時間に、エルは胸がいっぱいになりそうだった。
「……エル。今日は少し、付き合ってくれないか」
「ん……なあに?」
「……お前を抱きたい。久しぶりに、深くまで、繋がりたい」
低く囁くその声に、エルはぎこちなく笑ってうなずいた。
「うん……アザールがしたいなら……僕も、したい」
その返事を聞いた瞬間、アザールはもう、エルをそっと押し倒していた。
キスはゆっくり、けれど確実に熱を持ち始めていく。唇がふれあい、舌が絡まったとき、エルの体からふと甘い息が漏れた。
「……ん、ふ……」
アザールは手を抜かず、丹念にエルの唇を啄む。
ぞくりとした痺れが背中を駆け抜ける。エルの体が、小さく跳ねた。
シャツの上から撫でられる胸元、指先が服の隙間から入り込み、敏感な乳首を軽く弾かれると、エルは堪えきれずに小さく喘ぐ。
「……っ、ん、あっ……や、だめ……っ」
「駄目じゃない。もっと、気持ちよくしてやる」
焦らすように、何度も何度も指先で撫で回され、乳首はすぐに硬くなってしまった。そこに唇が触れる。くすぐるような舌の動きに、エルはたまらずシーツをぎゅっと握る。
衣服が脱がされていく。獣人であるアザールの手は少し荒く、けれど愛情に満ちていた。
「痛くないようにする」
低い声でそう囁かれると、エルは小さく頷いた。
首筋から肩にかけて、優しく舌が這う。敏感な場所を的確にくすぐられ、エルの身体がびくりと跳ねた。
「……ふ、ぁ……」
吐息まじりの声が漏れる。
アザールはゆっくりとエルの脚を開かせ、膝の間に身体を沈めた。指先で慎重に触れ、秘所を撫でる。
耳まで真っ赤にしてエルが目をそらした。
その反応に満足したように、アザールはくつくつと笑った。指先を這わせ、ゆっくりとほぐしていく。
一本、二本と時間をかけて挿れて、エルの内側を丁寧に愛撫する。
「……っん、ふっ……あ、あ……」
その声に、アザールの興奮はさらに高まっていった。
股間には、狼の獣人特有の形状が現れ始めていた。
人のそれよりも太く、根元に球状の膨らみ──ノット──が形成されつつある。
「……エル。もう……我慢できない。いいか?」
「……うん。来て……アザール……」
唇を重ね、深く舌を絡めた後、アザールは自分のものを導き、エルの中へとゆっくりと押し入った。
久しぶりの感触。ずっと遠ざけていた熱が、ふたりを貫いた。
「っ……あ……っ、ああっ……!」
声が漏れるたび、アザールは優しく耳元を舐めたり、額を合わせたりして、繋がりを確かめていく。
ともだちにシェアしよう!

