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二十一話 そうだよ。

「映画」  思わず反復してそう呟いた俺に、進藤が笑う。 「そうだよ。本を読むのが苦手みたいだし。じゃあ、映画はどうかなって」  進藤が誘ってきたのは、文学作品が原作の、長編映画だった。あらすじからして眠くなりそうな題材に、なんとなく億劫な気持ちが湧く。だが、課題が進んでいないのも事実だった。 「うへ」 「まあまあ。授業の延長だと思えば」 「何が楽しくて、お前と授業しなきゃいけないんだよ」  嫌そうな顔をする俺に、進藤は心底楽しそうな顔をする。  あれからしばらくして、泉と進藤の噂は、一旦は鳴りを潜めたようだった。進藤が否定したのかも知れないし、泉がなにか言ったのかも知れない。詳しくは聞いていないから、はっきりしたことは解らない。  それと、俺が進藤と頻繁に会うようにしたことは、無関係じゃないかもしれない。滝と藤木はなにも言ってこないが、曖昧に笑っていた。泉が進藤と連れ立っているのは文句を言うくせに、俺にはなにも言わない理由は、たぶん聞いても教えてくれないだろう。  最近はゼミ旅行の同室だった五人で、一緒につるむことが増えた。泉と進藤の関係が進んでいるのか、傍目には解らない。進藤が泉を口説いているのを俺は見ていないし、泉はいまだに、俺のベッドに居る。 「まあ、考えておく」 「前向きにね」  年押しされ、俺は肩を竦めた。    ◆   ◆   ◆ 「映画」  話を聞いた泉の態度が俺と同じだったことに、思わず笑う。俺はベッドの上でスマートフォンを弄くりながら、曖昧に返事をした。  泉はバイトが終わると、真っ直ぐ俺の部屋に来る。俺のテーブルで買ってきた晩飯を食って、俺の部屋でくつろぐ。 「ああ、なんか、そんなことに」  動画サイトを流し見しながら、適当に相づちを打つ。シャツをハンガーに吊るしながら、泉が不満そうにするのが視界に入った。 「おれとは行かないクセに」  返事の代わりに、ククと笑う。泉はムッと唇を結んで、ベッドに乗ってきた。ギシッと、ベッドが軋む。 「あ、おい」  スルッと俺の手からスマートフォンを抜き取って、ベッドの端に投げる。 「どうせ、見てないくせに」 「見てたって。猫の動画」 「犬派だろ?」 「そうでもない」  ちゅ、と音を立ててキスしながら、泉の服に手を忍ばせる。 「んっ……、は…」  顎から首筋に唇を這わせて行く。ピクピクと身体を震わせる泉に、こっちもゾクゾクしてくる。 「大胡――ん、サービス、いつしてくれんの……?」 「ああ?」 「約束、したじゃん……」  泉の身体を反転させ、背中から抱き締める。前に手を伸ばし、下着の中に手を滑らせた。 「っあ」 「いつもしてるだろって」 「っ、ん……それじゃ、いつも通り、だろ……」 「……」  身体をまさぐりながら、黙り込む。泉には、およそ殆どのことをしてきた。それ以上を求められると、やることは少ない。  例えば――愛を囁くとか。  そう言うことは、してこなかった。リップサービスでも、口にしたことは一度もない。 「……まさか、お前が挿入れたいとか?」 「そうじゃないけど……もう良いよ」  ハア、と溜め息を吐かれ、ムッとして泉をベッドに押し倒す。そのまま、下着ごと服を剥ぎ取り床に投げ捨てる。 「ちょ、大胡……っ」 「は、良く見える」  泉の両足を左右に割り、下腹部に視線をやる。泉は恥ずかしそうに顔を背けた。  俺は無言で脚を抱え上げ、そのまま泉の身体の方へ倒す。胸と膝が、隙間なくくっつく。 「身体、柔らかいなお前」 「苦しいんだけど……」  体勢的に辛そうだ。だがこうすれば、泉のいやらしい部分が良く見える。  俺は笑いながら、穴を指で左右に押し拡げる。 「お前のココ、俺には性器にしか見えねえんだよな」 「っ……、ばか」 「使い込んでる割に、綺麗じゃん」  顔を近づけ、舌を這わせる。  泉が息を飲んだ。  ぬる、とヒダを舐め、硬く尖らせた先端で擽ってやる。 「あっ、あ、大胡っ……」  羞恥心と興奮が、ない交ぜになったような顔で、泉が震える。  俺はわざと卑猥な音を立てながら、アナルに舌を差し入れる。 「んんっ~~~~っ」  ビク、ビクと、痙攣するように震える泉に、興奮して、触れてもいないのに腹につくほど勃起した。 「はっ、あっ……、大胡っ……」 「ココ、ほんと弱いのな……」 「んんっ、んぁっ……」  余裕がなさそうな顔で、泉が俺を見た。蕩けそうな表情に、ぐっと心臓が捕まれる。  舌を出し入れしながら、泉の勃起した性器をぐちぐちと弄くってやる。泉の脚に力が入る。爪先まで力を入ると、尻にも力が入るらしく、穴が堅く収縮した。 「ハァ……、エロいな、お前の穴……」 「っ、ん!」  ビクン。太股を跳ねさせ、泉は軽くイったようだ。筋肉が弛緩し、脚がだらしなく開いたままになる。 「……ハァ……、ハァ……」 「舐められてイっちゃった?」 「ん、ぅるさい……」  まだ余韻に浸る泉に、笑いながらローションを手に取る。指にたっぷりつけ、収縮を繰り返す濡れた穴に、ぬぷりと挿入する。 「んぁ、だいっ……まっ……」  イったばかりで敏感なのか、内壁を擦ってやると、泉はイヤイヤと頭を振る。俺は構わず指を突っ込み、指先で奥にある前立腺を引っ掻いた。 「~~~~っ!」  泉が声にならない悲鳴を上げる。俺が執拗にそこばかり刺激していると、泉は目に涙を溜めながら、逃げるように身体を捩る。 「ひぁ、あっ、あっ……!」 「でかい声、出すなって」 「あっ、ん……、お前がっ……悪いっ……」 「俺のせいにすんの?」 「……そう、だよ……」  潤んだ瞳で、泉が俺を見る。  俺は唇を塞ぎながら、指を増やして抜き差ししてやる。泉はいっそう激しく声を上げたが、俺の唇に吸い取られていった。

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