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二十二話 サービス

 ずるっ、と指を引き抜くと、嫌がるように穴が締まって引き留める。無意識なのか、泉は物欲しそうな顔をして俺を欲望に満ちた顔で見つめてくる。  俺は喉の奥で笑いながら、コンドームを着けた。生でするのは好きだが、長く持たせるなら着けた方が持ちがいい。今日はサービスしろと言われているし。  泉の腰に枕を入れて、尻を浮かせる。泉は散々、虐めてやったせいか、殆ど無抵抗で、されるがままだった。 「前からが良いんだろ?」 「う、ん……」  白い肌を赤く染めて、泉が頷く。  めちゃくちゃにしてやりたい衝動を宥め、穴に自身を押し付けた。泉が視線で、「早く欲しい」と訴える。  淫乱め。  胸中で呟きながら、ぐぐ、と腰を進めた。 「あ――、んんっ……」  泉が白い喉を無防備にさらけ出す。 (ああ、くそ……)  泉を貫く度に、いつもいつも、胸中で毒を吐く。快楽に呑まれようとする理性をたたき起こし、ゆっくりと味わうように攻めて行く。 「あ……、あ、あ……大胡っ……」  泉の瞳が、快感と同時に不満を訴える。 「何だよ?」 「ゆっくり……や」 「良いだろ。じっくり責められんの」 「あっ、あ……、ヤダ、待って……」  ジワジワと迫る快感に、泉が首を振る。執拗に前立腺をゴリゴリと先端で引っ掛けてやると、泉は堪らないというように髪を振り乱した。 「あ、あっ、大胡っ、大胡っ……」 「っと、イくなよ」 「あっ……! っ、なん、で……」  今度は浅いところを重点的に攻める。前立腺には届かない浅い部分を出入りする俺に、泉は赤い顔でイヤイヤと首を振った。 「大胡っ、奥……、奥まで頂戴よ……」 「エロい誘い方すんなって」 「意地悪、しないで……」 「ふん?」  泉の訴えに、思わず口端を上げる。だが。 「でも俺、虐めたいのよね」 「っ――…」  浅い部分を擦ったまま、泉の乳首に触れる。両手で先端をつまみ、引っ張る。泉が赤い顔でそれを見る。 「っあ」  泉の乳首は、敏感だ。先端を弾いたり押し潰したりしながら、何度も執拗に弄くってやる。そうやって虐めてやっていると、泉は痺れを切らしたらしく、俺の腰を脚で掴んだ。 「っ、おい」  ぐっと腰を締められ、奥へと導かれる。 「っ、は……焦らす、からだっ……」 「馬鹿がっ……」  乳首を弄るのを止め、腰を掴む。腿の上に細い脚を乗せ、深く貫いた。いわゆる、吊り橋という体勢だが。 (泉、これ好きなんだよな)  口に出されたことはないが、これが好きなやり方の一つだ。他にも、脚を抱えるやり方だとか、上から突くのとかが好きだった。  要するに、正面から俺と深く交われるもの。バックからするのは好きでないらしい。俺が後ろから尻を揉みながらすんのが好きだから、バックもやるが。  奥をつついてやると、泉が歓喜に震えた。 「あ――、あっ、あ……」  先ほどとは変わって、今度は激しく突いてやる。ドチュドチュと中を突かれる度に、泉はビクンビクンと激しく震えた。 「泉っ……」  泉が髪を振り乱す。首にかけられたネックレスチェーンが、擦れて音を立てる。  泉の身体が、一際大きく跳ね上がった。 「っんんん!」  突き上げる度に揺れていた泉の性器から、精液が吹き出す。自分の腹の上に撒き散らして、泉はぐったりと身体を緩める。  内部が弛緩するのに促され、俺も続いて射精した。  ハァハァと息を荒らげながら、言葉もなく余韻に浸る。  泉が腕を拡げて、迎え入れる。それに応えるように泉の上にのし掛かり、唇を重ねた。  軽く触れあうように啄み、舌先を擽る。何度も唇を合わせながら、徐々にまた身体が熱くなっていく。  泉の腰を撫でながら、舌を捩じ込んだ。唾液を絡ませ、舌を舐る。  泉の脚が、俺の脚に絡み付く。  もう一度しよう。そんな言葉もなく、俺たちは再び絡み合った。

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