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第12話 治療
次の日も、二十三時になると、ドクター昭彦は診察のため、離れへ出向いた。そしてドアをノックした。
「秀紀君。入るよ」
「先生、今晩は。今日も宜しくお願いします」
秀紀は、ドクター昭彦の真意を理解してくれたようだった。俺が手袋とローションを出すと、昨夜と同じようにベッドの上で速やかに尻を出して、四つん這いの体勢になった。
「じゃあ、ゆっくり挿れるからね。力を抜くんだよ」
俺はローションを多めに指に塗ると、初めから二本の指で試してみた。
「痛かったら、すぐに止めるからね」
秀紀は、はい、と頷いた。
「大きく息を吐いて」
はぁ…と吐息が聞こえ、秀紀の臍辺りが動いたと同時に挿れ込んだ。あっ、と言う声とともに秀紀は腹這い状態になってしまった。
「ほら、力を抜いて…ゆっくりと左側を下にして横になって」
俺は、秀紀の肛門に指を突っ込んだまま、左側臥位にした。そして背中を丸めさすと、二本の指を更に奥へ挿れた。
「大丈夫だろ?」
「…はい」
秀紀は少し辛そうだったが、自分でも痛みを無くそうと呼吸を深くしたり、短くしたりしていた。
「この治療の最終目的は、秀紀君が自分でディルドを使えるようになることだからね」
えっ?と、秀紀は聞き返した。ディルドがわからないようだ。
「後でICをしよう」
「…はぁ…お願いします」
昨日よりも少し長めに指の抜き差しをした。
俺の指への締め付け感も昨日よりは、軽減している。
「じゃあ、一度抜くよ」
秀紀は大きく息を吐いた。
「先生、ありがとうございました」
「うん?もう終わった方がいいのかな?」
「あっ…そう言うわけでは」
「まぁいい。ディルドを見せてあげよう」
俺は、手袋を外すと紙袋から薄茶色のディルドを出した。それを秀紀に手渡した。秀紀はあからさまに引いていた。
「こ…これは…ですよね」
「そうだ。君にも先生にも付いているアレだ」
「僕は、これを自分で挿れられるように…ならないといけないんですよね…」
「そうだよ。そうできれば傷を負うことはない。予防的措置だ」
秀紀は、ディルドを握りしめていた。
「今日はこれくらいにしておこうか…じゃあまた明晩に」
「あっ…はい。先生、ありがとうございました」
俺は、本当に医師になった気分だった。
翌日も、更にその翌日も、ドクター昭彦は指の数を増やしながら秀紀の肛門を広げた。
そして、治療五日目。
「秀紀君。だいぶ広がってきたようだし、今日はコレを挿れてみようか」
「はい。先生」
俺は、チェストの上に置いてあったディルドを手に取った。
「秀紀君。これはいつもここに置いているのかな」
「いえ…いつもは机の引き出しの奥に」
「そうか、よかった。家政婦さんには刺激が強すぎるからね」
「そうですね」
秀紀はクスクスと笑った。初めて見る秀紀の笑顔だった。
「じゃあ、始めるよ」
俺は、ラテックス手袋をつけて、ウェットティッシュでディルドを拭いた。
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