11 / 15

第11話

「ナオー、大丈夫かー?開けろよー」 「ねぇ、開けてぇ?心配なんだよ、ナオぉ」 ドアの向こうで双子(ナギナミ)が騒いでる。 知ったことか。 さっさと帰れ! 「ナオー、頼むって、開けてくれよー」 「ナオぉ、ねぇ、なぁおぉー」 お前ら猫か? なおーなおー煩いぞ。 「なぁ、開けろって、スポドリ持って来た。喉渇いてんだろ?」 「お腹も空いてるよね?夕飯、ナオが好きなうどん(ちゅるちゅる)だよ?開けて?」 ・・・喉渇いた、腹減った。 でも、どっちもドアの向こうの双子のせいだ。 ベッドの上での・・・アレを終え、3人でシャワー浴びてから、隙を見て俺は這って自室に逃げ込みベッドに潜った。 俺の部屋にはセナさんが鍵を付けてて、使う事なんてないからなんでだろって思ってたけど、まさかこうして役に立つとは・・・。 それにしても何時間ヤってたんだ・・・え、もう21時になるじゃん!? こっちは初めてだったんだぞ? それを・・・俺、サブドロップ以外で死ぬとこだったかも・・・。 赦す気はないからな! 「・・・鍵、ぶっ壊してもいいか?」 「・・・仕方ないよね、ナオ開けてくれないし」 ・・・・・・ん? なにやら不穏な・・・。 ───バキン 「へっ!?」 「思ったより簡単にぶっ壊れた」 「さすがナギ、怪力」 「なにして・・・っ・・・げほっ・・・けほっ」 怒鳴ろうとしたら渇いた喉が悲鳴を上げた。 すかさず双子が駆け寄って来て、背中を摩ったりスポドリ飲ませたりと世話を焼いてくる。 「ごめんナオ、僕ちょっとラット入っちゃって。抑制剤は飲んでたんだけど・・・ナオが可愛過ぎるのもイケナイんだよ?」 「俺も止められなくて、悪かった・・・まあ、俺たちも童貞だったし、大目に見てくれ」 「なにが・・・っ・・・え?・・・どーてー・・・?」 双子、童貞だった、のか? ・・・・・・あれで!? これだからDomだαだってやつらは・・・。 「信じらんない」 「はあ?ずっとナオと一緒に居たんだぞ?ナオとヤってないなら童貞に決まってんだろ」 「僕たちがナオ以外で()つと思う?」 「知らんっ」 俺で()たせるな! 「・・・あれ?」 「ん?」 「どうした?」 「お前らは脱童貞したけど、俺は・・・?」 俺、ヤられた方だし、童貞のまま・・・? 「めでたく非処女だ。またひとつ大人になったな、Goodboy(いいこ)」 「処女喪失おめでとう。お赤飯炊こうか」 「祝うなああっ!!」 ─────── 「夕飯どうするのかと思って連絡しても反応ないし、でも青木家(あっち)の電気は点いてるから帰っては来てるんだろうとは思ってたけど・・・」 「ごめんな、ナオ、うちの双子が無理させて・・・」 遅い夕飯を食べに茜霧(あかぎり)家に来てる。 俺の脚ががくがくでナギに抱っこされてだったから、それを見たハルカさんとソウマさんに問い詰められたんだけど、双子があっさりナニがあったか話しやがった。 「ナオ、今日はめんめんだけ食べてていいからな」 「そうだぞ、デザートにアイスも食べるか?何味がいい?」 いつもは双子に挟まれて座ってる俺は今、ハルカさんとソウマさんに挟まれて座り世話を焼かれている。 双子(息子たち)から守ってくれてるらしいんだけど、双子は俺の前に座ってじーっと俺から目を離さなくて・・・居た堪れない・・・。 「あ、ハルカさん、アイスは飯食ってからにしてやって・・・」 「ソウマさんも、めんめんだけじゃなく、ちゃんと具も食べさせてよ・・・」 双子(お前ら)、どんだけ俺の面倒見たいんだよ。 いやそれより、俺がこんなに消耗する前に自制しろ! 「ナオ、今夜は茜霧家(こっち)で寝なさい。双子(ナギナミ)青木家(むこう)でね。少し反省するといい」 「「え"!?」」 ハルカさんの言葉に双子が愕然とした。 「当然だろ。これ以上ナオに手ぇ出したら許さねぇからな」 ソウマさん、ありがとう。 これで安心して眠れ・・・。 「そんな・・・無理させたのは謝るから、今夜はもうなにもシないから一緒に寝かせて・・・ナオが心配なんだ・・・」 ナミ、反省しているみたいに言ってるけど、俺は「今夜は」って単語に少し引っかかったぞ。 「今日はもうシねぇよ!だから・・・側に居させて欲しい・・・」 ナギ、珍しくしおらしい姿を見せてるけど、やっぱ俺は「今日は」って言葉が引っかかるんだけど。 「日付が変わった途端、ナオに手を出すつもり、と?」 あ、ハルカさんも引っかかった? ・・・え、待って、日付変わったらって、あと2時間くらいですけど? いくら双子でも、それはさすがに・・・。 「「・・・・・・・・・」」 黙ったまま俺を見る双子。 ・・・おい、そこで黙るのは肯定と捉えるが? 「双子(お前ら)・・・ナオを抱き潰す気か!!これだから童貞は!」 「「もう童貞ではありません」」 「黙れ!!」 ・・・もう、なんだろ、この状況・・・。 「ふ・・・・・・あははっ」 「「ナオが笑った」」 おい双子、嬉しそうにすんな。 ほんともう、赦せないのに、赦さないって思ってたのに・・・。 「ナオ・・・この状況が面白くなっちゃったかな?」 「笑い事じゃねぇぞ、ナオ。笑って赦したりしたら、双子(ナギナミ)は何度でも同じ事繰り返すんだから」 ハルカさんとソウマさんの言う通り・・・なんだけど、もう笑うしかないかなって。 身体は消耗したけど、精神的なとこは、なんて言うか、落ち着いたって言うか、安定したって言うか・・・。 「なんか、腹(くく)れた、みたいな?うどん美味(うま)い」 こうなったら双子に責任取ってもらって、重婚でもなんでもしてもらおうじゃないか。 これからも双子(お前ら)は一生、俺の面倒を見るんだ。 双子と書いて従僕と読ませてやる。 「良かった、機嫌なおって。ナオちゅるちゅるが一番好きだもんね」 「じゃ、アイス食ったら一緒に青木家(あっち)帰ろうな。今夜はちゃんと寝かせてやるから」 「それとこれとは話が別だ」 今夜は一旦、離れようか? 俺は安心して寝たい。 「「ナオぉ・・・」」 「捨て犬みたいな顔してもだめだ。俺、今日はハルカさんとソウマさんに挟まれて寝るから」 「お、いいぞ。川の字で寝ようなー」 「俺、子守唄歌ってやるー」 ノリノリの茜霧両親、俺に捨てられてきゅんきゅん鳴き始める双子、また笑いが止まらなくなる俺。 あーほんと、気にせず麺だけ食ううどん美味い。 デザートのアイスは何味にしよっかなー。

ともだちにシェアしよう!