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第11話
「ナオー、大丈夫かー?開けろよー」
「ねぇ、開けてぇ?心配なんだよ、ナオぉ」
ドアの向こうで双子 が騒いでる。
知ったことか。
さっさと帰れ!
「ナオー、頼むって、開けてくれよー」
「ナオぉ、ねぇ、なぁおぉー」
お前ら猫か?
なおーなおー煩いぞ。
「なぁ、開けろって、スポドリ持って来た。喉渇いてんだろ?」
「お腹も空いてるよね?夕飯、ナオが好きなうどん だよ?開けて?」
・・・喉渇いた、腹減った。
でも、どっちもドアの向こうの双子のせいだ。
ベッドの上での・・・アレを終え、3人でシャワー浴びてから、隙を見て俺は這って自室に逃げ込みベッドに潜った。
俺の部屋にはセナさんが鍵を付けてて、使う事なんてないからなんでだろって思ってたけど、まさかこうして役に立つとは・・・。
それにしても何時間ヤってたんだ・・・え、もう21時になるじゃん!?
こっちは初めてだったんだぞ?
それを・・・俺、サブドロップ以外で死ぬとこだったかも・・・。
赦す気はないからな!
「・・・鍵、ぶっ壊してもいいか?」
「・・・仕方ないよね、ナオ開けてくれないし」
・・・・・・ん?
なにやら不穏な・・・。
───バキン
「へっ!?」
「思ったより簡単にぶっ壊れた」
「さすがナギ、怪力」
「なにして・・・っ・・・げほっ・・・けほっ」
怒鳴ろうとしたら渇いた喉が悲鳴を上げた。
すかさず双子が駆け寄って来て、背中を摩ったりスポドリ飲ませたりと世話を焼いてくる。
「ごめんナオ、僕ちょっとラット入っちゃって。抑制剤は飲んでたんだけど・・・ナオが可愛過ぎるのもイケナイんだよ?」
「俺も止められなくて、悪かった・・・まあ、俺たちも童貞だったし、大目に見てくれ」
「なにが・・・っ・・・え?・・・どーてー・・・?」
双子、童貞だった、のか?
・・・・・・あれで!?
これだからDomだαだってやつらは・・・。
「信じらんない」
「はあ?ずっとナオと一緒に居たんだぞ?ナオとヤってないなら童貞に決まってんだろ」
「僕たちがナオ以外で勃 つと思う?」
「知らんっ」
俺で勃 たせるな!
「・・・あれ?」
「ん?」
「どうした?」
「お前らは脱童貞したけど、俺は・・・?」
俺、ヤられた方だし、童貞のまま・・・?
「めでたく非処女だ。またひとつ大人になったな、Goodboy 」
「処女喪失おめでとう。お赤飯炊こうか」
「祝うなああっ!!」
───────
「夕飯どうするのかと思って連絡しても反応ないし、でも青木家 の電気は点いてるから帰っては来てるんだろうとは思ってたけど・・・」
「ごめんな、ナオ、うちの双子が無理させて・・・」
遅い夕飯を食べに茜霧 家に来てる。
俺の脚ががくがくでナギに抱っこされてだったから、それを見たハルカさんとソウマさんに問い詰められたんだけど、双子があっさりナニがあったか話しやがった。
「ナオ、今日はめんめんだけ食べてていいからな」
「そうだぞ、デザートにアイスも食べるか?何味がいい?」
いつもは双子に挟まれて座ってる俺は今、ハルカさんとソウマさんに挟まれて座り世話を焼かれている。
双子 から守ってくれてるらしいんだけど、双子は俺の前に座ってじーっと俺から目を離さなくて・・・居た堪れない・・・。
「あ、ハルカさん、アイスは飯食ってからにしてやって・・・」
「ソウマさんも、めんめんだけじゃなく、ちゃんと具も食べさせてよ・・・」
双子 、どんだけ俺の面倒見たいんだよ。
いやそれより、俺がこんなに消耗する前に自制しろ!
「ナオ、今夜は茜霧家 で寝なさい。双子 は青木家 でね。少し反省するといい」
「「え"!?」」
ハルカさんの言葉に双子が愕然とした。
「当然だろ。これ以上ナオに手ぇ出したら許さねぇからな」
ソウマさん、ありがとう。
これで安心して眠れ・・・。
「そんな・・・無理させたのは謝るから、今夜はもうなにもシないから一緒に寝かせて・・・ナオが心配なんだ・・・」
ナミ、反省しているみたいに言ってるけど、俺は「今夜は」って単語に少し引っかかったぞ。
「今日はもうシねぇよ!だから・・・側に居させて欲しい・・・」
ナギ、珍しくしおらしい姿を見せてるけど、やっぱ俺は「今日は」って言葉が引っかかるんだけど。
「日付が変わった途端、ナオに手を出すつもり、と?」
あ、ハルカさんも引っかかった?
・・・え、待って、日付変わったらって、あと2時間くらいですけど?
いくら双子でも、それはさすがに・・・。
「「・・・・・・・・・」」
黙ったまま俺を見る双子。
・・・おい、そこで黙るのは肯定と捉えるが?
「双子 ・・・ナオを抱き潰す気か!!これだから童貞は!」
「「もう童貞ではありません」」
「黙れ!!」
・・・もう、なんだろ、この状況・・・。
「ふ・・・・・・あははっ」
「「ナオが笑った」」
おい双子、嬉しそうにすんな。
ほんともう、赦せないのに、赦さないって思ってたのに・・・。
「ナオ・・・この状況が面白くなっちゃったかな?」
「笑い事じゃねぇぞ、ナオ。笑って赦したりしたら、双子 は何度でも同じ事繰り返すんだから」
ハルカさんとソウマさんの言う通り・・・なんだけど、もう笑うしかないかなって。
身体は消耗したけど、精神的なとこは、なんて言うか、落ち着いたって言うか、安定したって言うか・・・。
「なんか、腹括 れた、みたいな?うどん美味 い」
こうなったら双子に責任取ってもらって、重婚でもなんでもしてもらおうじゃないか。
これからも双子 は一生、俺の面倒を見るんだ。
双子と書いて従僕と読ませてやる。
「良かった、機嫌なおって。ナオちゅるちゅるが一番好きだもんね」
「じゃ、アイス食ったら一緒に青木家 帰ろうな。今夜はちゃんと寝かせてやるから」
「それとこれとは話が別だ」
今夜は一旦、離れようか?
俺は安心して寝たい。
「「ナオぉ・・・」」
「捨て犬みたいな顔してもだめだ。俺、今日はハルカさんとソウマさんに挟まれて寝るから」
「お、いいぞ。川の字で寝ようなー」
「俺、子守唄歌ってやるー」
ノリノリの茜霧両親、俺に捨てられてきゅんきゅん鳴き始める双子、また笑いが止まらなくなる俺。
あーほんと、気にせず麺だけ食ううどん美味い。
デザートのアイスは何味にしよっかなー。
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