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第14話

会社から直接病院へ迎えに来てくれたハルカさんの運転で、茜霧(あかぎり)家へ帰宅。 ソウマさんも玄関前で待っててくれてた。 「ナオ!お帰り、大変だったな・・・」 「ごめん、心配かけて」 「謝んなよ、ナオは悪くないんだから・・・」 ソウマさんが俺をぎゅっと抱きしめ、頭を撫でる。 もお、子供扱いすんなって・・・。 「ソウマさん!だめ!」 「俺たちのナオだぞ!ナオCome(おいで)!」 「()を勝手に所有すんな」 双子(ナギナミ)にソウマさんから引き剥がされ、ナギに抱き上げられる。 いや、もう歩ける・・・けど、ま、いっか。 俺、倒れたんだもんな。 日帰りだけど入院までしたし。 「サブドロップして日帰り入院した可哀想なSubΩ様は腹が減りました」 「お腹すいた?めんめん食べる?あったかいうどん(ちゅるちゅる)作ろうか?」 「昨日もちゅるったろ。他のめんめんがいいんじゃね?ナオ、何がいい?」 「カルボナーラ」 「「了解」」 ・・・・・・俺は気付いてしまった。 今ならどんな我儘もあっさり通るのでは、と。 今のうちに先々のメニューも頼んどこっかな。 「明日は味噌味のきしめんにして、明後日は・・・」 「だめ。明日からはちゃんとご飯とおかずも食べなさい」 「ええー・・・」 ハルカさんに釘を刺された。 ちぇ、だめか。 「そうだぞ、ちゃんとバランス良くしっかり食べないと・・・身長伸びないぞ」 「それは困る」 牛乳だけじゃだめなんだっけ。 ・・・いや、そんな事言ってるけど、ソウマさんだって俺と身長あんま変わんないじゃん。 「ナオは今のままで充分可愛いから」 「別に身長伸びなくてもいいと思うぞ」 はい、双子(お前ら)は俺の敵です。 身長が伸びる食いもん検索しよ・・・ええと・・・身長を伸ばすには肉、魚、卵、大豆製品、牛乳、乳製品、小魚を積極的に摂り、野菜やきのこ類も・・・。 え、待って、麺は? ─────── 『ナオ、側に居てあげられなくてごめん。大丈夫?』 「・・・だ・・・ぃ、じょぶ・・・っ」 「セナさん、ナオ泣かすのやめて。具なしカルボナーラでやっと機嫌良くなったのに」 「ナオ、Come(おいで)Goodboy(いいこ)」 『え、そんなつもりは・・・』 晩飯後、俺が落ち着いたので茜霧家のリビングでセナさんとハヤテさんに電話してる。 スマホをスピーカーにして、みんなで。 『じゃあセナは黙っててもらうから僕と話そ。僕とセナも、ほんとに心配したんだよ?ハルカとソウマだって・・・ナオ、双子とエッチして腹を(くく)ったんじゃなかったの?』 「まあ、括ったよ?でもさ、高1で妊娠するかもって思ったら、そこは不安になってもおかしくないんじゃない?」 『それは確かに・・・』 『ちょっと待て、妊娠ってどういう事かな?』 『セナ、Shush(だまれ)』 ハヤテさんがセナさんを黙らせた。 ハヤテさんたまに、Domαのセナさんにコマンド出すんだよな。 半分冗談なんだろうけど、いつもセナさんは割と素直に聞き入れる。 DomαとNormalΩの夫夫(ふうふ)だからなんだろうか。 見てて面白いけど、ちょっと不思議な関係だ。 「なーちゃんたち、ゴムしなかったのかい?」 ハルカさんが双子を問い詰める。 いつもにこにこして穏やかなハルカさんだけど、さすがに怒ってんな、これ・・・。 「ナオのクラスのやつが・・・」 「ナオにDomαの兄を会わせようと・・・」 「それで・・・」 「早く発情期来て欲しくて・・・」 双子が、さすがに両親たちの前では言いにくいのか、交互に小さな声で言った。 昨日はエッチしたって事しか話さなかったからな。 それにしても、なにこれ、どーゆう家族会議? 議題がセンシティブ過ぎない? 『さすがにそこまで許してないぞ』 『はいはい、セナ、いい子だから大人しくしてて』 「僕の責任だ。双子がナカ出し(そこまで)するとは思ってもみなかった・・・ナオ、セナ、ハヤテ、申し訳ない・・・」 「俺も、うちの双子がすまん。2人が帰ってくるまで、双子とは一緒に寝かせないようにするから・・・」 「え!?なんで?」 「一緒に寝るぐらいいいだろ!?」 いつもより更に声が低くなるセナさん、それを宥めるハヤテさん、スマホに向かって深く頭を下げるハルカさん、同じく項垂れるソウマさん、抗議する双子・・・カオスだ・・・。 なんか眠くなってきた。 寝ちゃう前に風呂入らないと。 「じゃ、俺は風呂入ってくるから、あとは6人で話し合って」 「あ、待ってナオ、一緒に入ろう?」 「風呂で倒れでもしたら大変だからな」 懲りない双子は俺に付いて来ようとする。 その腕をハルカさんとソウマさんががしっと掴んで止めた。 「「双子はここに残りなさい」」 「「・・・はぃ」」 さて、俺が風呂から出るまでに会議が終わってるといいけど。 ─────── はい、風呂から出ました。 会議は無事終了したようで、親たちは楽しそうに会話してたけど、双子は反省中の犬みたいにしょんぼりしてる。 可哀想とは思わなかったが、面白いので頭を撫でてやる。 「「ナオぉ・・・」」 あれ、犬じゃなくて猫だったか? 「お前らも風呂入れ。仲良くな」 「え、僕たち2人で入るの?」 「俺先に入るから、ナオのドライヤー頼む」 「了解」 ナギが先に風呂へ行き、ナミはドライヤーを持って来てリビングのソファに座った俺の髪を乾かし始めた。 「それでぇ・・・セナさんには赦してもらえたぁ・・・?」 「うん、まあ・・・一緒に寝るのもOK出たよ」 いや、なんでそこOKしちゃう? ソウマさん、俺を守ってくれるんじゃなかったのかよ・・・。 「ナオ、たぶんもう、ひとりじゃ寝られないと思うから」 「んな事ない」 「そんな事あるよ。ひとりで寝たりしたら、寂しくてまたサブドロップしちゃうかもよ?」 ・・・それは、嫌だな。 サブドロッ(あれ)プ、思ってたよりキツい。 「・・・・・・仕方ないから、一緒に寝てやってもいい」 「ありがとう。3人で寝るのに、大きいベッド買ってもらう事になったから。届くまでは今までのベッドで我慢してね」 わざわざベッドデカくすんの? まあ、双子のベッドはセミダブルとはいえ、3人で寝るには狭いけど。 「青木家(あっち)の僕たちの部屋のベッドを2つともどけて、キングサイズのベッド入れるって」 「え、じゃあ青木家(あっち)で寝る時、双子は仲良く添い寝か。うける、なかよぴじゃん」 「ナオが真ん中だからね」 あ、3人で寝る前提ね。 ナギが風呂から出て、俺の髪を乾かし終えたナミが風呂へ入りに行った。 リビングからナギの部屋へ移り、ラグの上でクッション抱いてごろごろしようとしたら・・・。 「ナオ、Kneel(おすわり)」 ベッドに腰掛けたナギに呼ばれ、ナギの脚の間にぺたんと座る。 さあ褒めろ、はやく撫でろ。 「Goodboy(いいこ)」 両手で撫でられ、ふわふわして眠気が増す。 「んぅ・・・も・・・ねるぅ・・・」 「わかった。Come(おいで)」 ナギのベッドに上がり、仰向けになったナギの上にうつ伏せで乗せられる。 ナギの胸を枕に目を瞑るけど、なにか足りなくて・・・。 「ナミもすぐ来るから、ちょっと待ってろ」 「・・・ん・・・・・・」 そっか、ナミが足りないのか。 「あ、ナオ寝ちゃった?」 「まだ。お前待ってた」 「そっか。お待たせ、ナオ」 ナミもベッドに入り、背中にナミの腕が乗った。 これで、やっと寝れる・・・。 俺、ほんとに双子が居ないと寝られなくなったのかも・・・。

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