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第24話

 年末最後に週刊誌が発売されてしまい、一気に炎上した。 「マネが枕とかあり得ない」「いきなり出てきて売れ出したから変だと思ってた」「これが芸能界の闇だ」と散々言われ、年末の特番も全部降板させられてしまった。  契約していたCMや雑誌も降ろされ、違約金を払わなければならず事務所はまた貧乏に逆戻りしてしまったらしい。  「俺のせいだ」  携帯をベッドに投げ捨ててダイブした。文句を言うようにスプリングが軋み、隣室からはどんと壁を叩かれた。 でもそれどころではない。  事務所をクビになりお役御免となったが、残された葉月たちの誹謗中傷は絶えず続いている。一応一般人ということで名前も顔写真が出なかったことが幸いしたのか、昴にはなにも天罰がくだらない。それが余計苦しかった。  罵詈雑言を浴びせるなら自分だけにして欲しい。葉月たちは知らなかったのだ。自分が勝手にやったことなのだ。  そうやって世間に公表できたらいいのに余計な火種になるからやめてくれと芦屋に止められてしまった。  もう大人しくして時間が過ぎるのを待っているしかない。  テレビ番組は年末年始の特番編成されているが、合間のニュースで枕営業のことを取り沙汰された。 そのたびに葉月たちの顔が映る。 楽しそうに笑って踊って歌っているのにニュースキャスターは淡々と「枕アイドル」と称していた。  チェリッシュのとき矢面に立ったのは昴だけだった。他のメンバーには迷惑かけずにいられたのは、冴島が自分たちに火の粉がかからないようにしていたのかもしれない。  画面にはライブのときの葉月の笑顔が映っている。 いまこの瞬間にも顔に泥を塗っている。  ただ痛みを伴う時間を一人で耐えているしかなかった。

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