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22.誘い(片桐side)
シャワーを浴び、タオルで髪を拭きながら浴室を出たとき、机の上のスマホから着信音が鳴っているのに気づいた。
……佐野か。
「もしもし」
通話ボタンを押してスピーカーモードにすると、髪を拭く手を再び動かす。
「やっと出たーっ!ソウさん何してたんスか!?も〜〜!」
相変わらず騒がしい声が耳を突く。元気だけはいつもどおりのようだ。
「何って、シャワー浴びてたけど」
「し、シャワー!?」
突然部屋中に佐野のどでかい声が響き渡る。
なんなんだこいつは…。
「ま、まさかソウさん…」
「…?」
「あの、例の、ソウさんが好きだって言ってた…あの男子大学生と、ヤッ……」
「――ってねぇよ」
続きの言葉を察し、俺は思わずスマホを睨みつけるようにしてツッコんだ。
「なんだぁ~。びっくりした〜」
ホッとした声を無視して、俺はベッドに腰を下ろす。
こいつの考えてることだけは、理解不能……。いや、黒崎もか。
「で、用件は?」
話題を変えると、電話の向こうで「あ、そうだった」と佐野が言う。
「実はですね……」
どこかうきうきとした佐野の声色を感じて、何となく嫌な予感を察知する俺。
「ソウさん…いや、片桐さんに……”合コン”に参加してもらいたくて、電話したんスよっ!」
……。
合コン…?
「今、俺職場で働いてるじゃないっすか。そこの同僚に誘われちゃって。でも、男の人数が足りなくって」
「黒崎誘えよ」
「誘いましたよ!もちろん!それでも足りないから、もうソウさんしかいないんスって!」
絶対に参加したいという佐野の熱い意思が、電話越しからでも伝わってくる。
……はあ。
そんなこと急に言われても。それに…
「正直、興味ねーよ。バイトでほぼ予定も埋まってるし」
「――全っ然興味なくてOKです!いてくれるだけでいいんで!バイトの方は…自分でなんとかしてください!」
「おい」
「日程は来週金曜、夜6時からです!場所は後で送りますんで、それじゃ!」
言いたいことも言えぬまま、唐突に通話が切れた。
……あいつ、一体何考えてんだ。つまり、要は人数合わせの合コンに参加しろってことか。
…馬鹿馬鹿しい。
ふと俺はスマホを手に取り、画面に映った星七さんの写真を見つめた。
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