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48.ベッドの上

「星七さん…」 片桐くんが名前を呼ぶ。俺は彼のベッドに手を付いて座りながら、ごくりと唾を飲み込む。見れば見るほど、本当に端正な顔立ちをしている…。でも、片桐君って、男同士でのそういう経験ってあるのかな。見聞きした感じでは、無さそうだけど…大丈夫かな。萎えさせたりとか、しないかな……。 「…後ろのリモコン、取ってもらえますか?」 ………えっっ? 近い彼の顔を見つめながら、俺は一瞬思考が固まる。 りも、こん? 俺はくるりと後ろを振り返り、彼の言うリモコンがベッド上に無造作に置かれているのを見つける。 「こ、これ?」 すぐにとって渡すと、はい、と言って片桐君は淡々とリモコンを操作し、どうやらクーラーの温度を調節している様子。 ……あ、危なかった〜…ッッ! てっきりそういうことするのかと思って、めちゃくちゃ緊張してしまった。 でも彼に気付かれなくて、本当に良かったぁ……っっ! もうすぐで危うく恥ずか死ぬところだった…。 「星七さん」 「なに?」 動揺してどきどきとする気持ちを落ち着かせていると、彼に呼ばれて、何の気なしに振り返る。 すると、唇にちゅ、と彼の唇が触れた。驚いて固まる俺から、ゆっくりと顔を離す片桐君。 も、もしかして……さっきの俺の挙動バレてたり…? ぶわっと顔から火を噴く俺を見て、彼は気づいているのかいないのか、ふっと軽く口元を緩めている。 「心配しなくても、取って食おうなんて思ってませんよ」 …分かんないけど、多分気付かれてた気がするー! 「わ、分かってるよ!もちろん!」 片桐君が、突然襲いかかるような人じゃないことくらい…。 「でも」 瞳を逸らす俺の肩に、ふいに片桐君が触れ、軽く後ろへと押し倒される。ぱたりとベッドに倒れる俺の上で、片桐君はどこか妖艶に笑った。 「……襲ってもいいなら、好きにしますよ。俺」

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