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99.不機嫌な彼3※

【R18】 ―― 挿れる…?挿れるって、片桐君のを?… ベッドに仰向けになりながら、視界の端に片桐君の大きなモノが一瞬映り込む。 それに天井を見上げて体を固まらせていると、彼に右手を引かれ、片桐君のだろうモノに手を触れさせられる。 「…あれ」 誘導されるまま、片桐君のをぎこちなく触っていると、ベッドに膝立ちしていた彼が、俺の様子を見て何か異変に気付いたかのような声を出す。 「もしかして星七さん、…自分の以外触ったことない?」 彼の問いに、顔を赤くしながら、こくこくと頭を縦に頷かせる。 「……へえ、そうだったのか」 片桐君は俺から目を逸らすと、考え事をするかのように、真面目な顔つきへと変えた。 一方で、俺は片桐君のを恐る恐る握り、触りながら、行為の恥ずかしさから目を瞑る。 どう、やったら気持ちいいんだろう。自分がする時みたいに…て思ったけど、人のだとよく分からない…。やっぱりちゃんと目を開くべきだろうか。 そっと目を開けると、片桐君が表情を緩めて俺を見下ろしていた。 「なんか…触ってるだけなのにすごくえっちですね、星七さん」 「えっ」 「扇情的っていうか」 まって……。触ってるだけって、なに? え、充分えっちなこと今してると思ったけど、もしかして、違うの…!? 俺が経験浅いだけっ!? 片桐君は、余裕そうな表情を浮かべて、プチパニック状態の俺を見つめている。 ……ていうか…なんか、全然気持ち良くなさそう? ――そうだ。 俺は思い立つように体を起こし、膝立ちをする片桐君のモノを薄暗い部屋で目にする。 そしてぎゅっと目を瞑りながら、四つん這いになって、自分の倍以上大きい片桐君のモノを口に咥える。 「、いいですよ星七さん、無理しなくても」 舌を這わせる俺の頭上で、片桐君にそう声をかけられ、首を横に振る。 だって気持ちよくしたい、俺も彼のことを。 でも、大き過ぎる彼のモノは、口に入り切らない。 少しすると、片桐君の手に顔を離される。 顔を上げると、笑う片桐君に見つめられた。 「初めてなのに、上手ですね」 そう言って、片桐君の指が数本、わずかに開いていた俺の口内に侵入する。指で舌を軽く押さえ付けられるせいで、口を閉じられない。 「それとも……俺の勘違いで、口でした経験はあるとか?」 ふと、片桐君の指が喉奥まで伸びた気がして、ゾクリと体が反応する。 「、ない、…ないよ」 「じゃあなんで」 舌を押さえてくる彼の手を握りながら、はぁ、と熱い息を吐く。 なんか……頭がふわふわする。理性がなくなるって、こういうことを言うんだろうか。 「その…されてたことを思い出して…それで、何となく……してみただけで」 「……。……は?」 「…片桐君手じゃ気持ち良くなさそうだし…だから、それで口でやってみようって思っ―― あ……っ!」 突然、体をベッドへ強く押され、仰向けに押し倒される。 すぐに片桐君の手に片足を掴まれ、もう片方の手でアソコを容赦なく握られ、痛みが電流のように走った。 体を硬直させる俺の上で、片桐君の見たことないくらい怖い目が見下ろしていた。 ――痛い……。 「片桐くん…いたい…、…痛いよ」 「………つまり、俺とベッドにいながら、他の男のこと考えてたわけだ」 片桐君の怒った表情とその低い声に、ビクリ、怖くて体が震えた。 今更自分の発言を振り返り、彼が怒っている理由を悟る。 「ちがう、そうじゃない、考えてたのは、どうしたら片桐君が気持ちよくなるのかなってことで、……だから、藍沢のことを考えてたわけじゃ…」 ――と、片桐君にさらに強くアソコを握られる。 「ぁ……っっつ……」 痛みと恐怖で涙が流れる。 瞳に涙を溜めながら怖い顔をする彼を見つめる。 「……星七さん…わざとやってるんですか」 「…っう…」 「もうほんと………腹立つ……」 ふいに後ろに片桐君のモノがあてがわれ、俺は大きく目を開く。 「あっ片桐君まって……!入らない、入らないよ……!」 ぐぐっとナカに入ってくる大きな感触に、大きくさせた目を白黒させる。 「大丈夫ですよ。さっき慣らしたでしょ」 冷たい瞳をした彼に見下ろされる。 それにぼろぼろと瞳から涙を零すが、片桐君は構わずナカへと押し進めてくる。 「あ……っっ…」 入ってくるその痛みもあったが、俺を見下ろす彼の冷ややかな眼差しに、何より涙が出た。 「片桐君…、ごめん…っ」 どうすればいいのか分からず、ひたすら何度も謝る。 「ごめんなさい、……っごめんなさい……もうしない、もう絶対言わない……ごめん、ごめんなさい…っっ…」 目元を手で拭いながらそう声を上げると、少しして片桐君の手が頬に当てられる。 濡れた目を上に向けると、まだ少し怒った顔をした片桐君が俺を見ていた。 「……もう、そんなに泣かないでください」 「…っ…」 「俺が悪いことしてる気分になる。…いや、聞いた俺も悪いんですけど」 そのうち、ぎゅっと上から片桐君に体を抱きしめられた。 「片桐く…」 「星七さん。もう、俺以外の人にどこも触らせないで」 ドキ 「じゃないと俺……もう何するか分からない」 そう言って、片桐君が俺のナカに恐らくまだ全て入り切っていなかったモノを、押し進めてきた。 「っあ…片桐君…」 片桐君の指に、零れる涙を拭われる。 「…痛い、ですよね」 「……っ」 「ごめん…。もっと優しくする予定だったのに」 上から見下ろす片桐君に向かって、俺は黙って首を横に振る。 「でも、大丈夫ですよ。今日はまだ、試しに入れてみただけなんで」 だから、動いたりするのはまた今度。片桐君は優しい表情で俺に言った。 頬に当てられる彼のあたたかい手の感触に、俺は安堵するように、閉じた目から涙を流した。

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