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109.甘くない夜※
【R18】
――
後日、バイトを終えた俺は、そのまま片桐君と合流して、彼が予約してくれているらしいホテルへ一緒に向かった。
タクシーを降り、大きくそびえ立つ高層ホテルを見上げ、俺は少し動揺してしまった。
あれ、ここ…前に玲司さんと来たところ…?
「行きますよ」
体を固まらせて突っ立っていると、片桐君に手を取られ、引っ張られるようにしてホテルの館内へと入る。
エレベーターに乗ると、俺は隣に立つ片桐君の顔を見れずに鼓動が速まる。
気づいてる……わけじゃ、ないんだよね。
でも、何でわざわざこんな高いホテルに……。あ、話したいことがあるから、て言ってたよね。
もしかしたら片桐くんたちの家では、ここは御用達のホテルとかなのかな。
などと思っていたら、エレベーターがとある客室フロアで止まり、片桐君がカードキーをかざしてドアを開ける。
片桐君が先に入り、そのあとに続くように俺も部屋の中へと入る。
(うわ……部屋、ひろっっ!)
ベッドが置いてあるだけかと思ったら、ふかふかそうな大きなソファや低いテーブルが並んでいて、奥の壁一面は窓ガラスになっている。窓の外には夜景が広がり、まるで映画のワンシーンみたいだ。
だけど、この夜景……既視感が……。
玲司さんとこの間来たばかりだから…。
ビク
窓のそばに歩み寄り、顔を俯かせていると、後ろから両腕を回される。
いつもなら癒される彼の匂いも、今日に関してはそうとはいかない。
「ど、どうしたの?」
後ろから手を回し俺の肩口に顔を埋める、彼に問う。すると、
「夜景、嬉しくないですか?」
耳傍で聞こえた彼の声に、悪い意味でドキっとする。
「ううん、すごく嬉しい!俺、こんな部屋はじめてきたし、夜景も…その、すごく綺麗だね」
「星七さん、来たことあるのかと思った」
「え、えぇ、まさか。こんな高いところ来れないよ」
笑いながら言うと、片桐君は黙ったまま俺の体を抱きしめる力を強くした。
彼が、「脱いで」と言う。
後ろを振り返ると、片桐君の虚ろな目が俺を見ている気がして、思わず息を飲む。
「俺……シャワー浴びてくる、バイトして汗かいてるし」
そう言って彼の腕の中から逃れると、すぐに片腕を掴まれ引き止められる。
「そんなのいいですよ」
ゆっくりと再び振り返ると、そこには、優しい顔をした片桐君がいた。
「その時間が惜しいくらい、早く星七さんを抱きたい」
胸がどきりとする。今度は――良い意味で。
片桐君に着ていた上着や服を全て脱がされる。ベッドに押し倒されてすぐ深いキスをされながら、下にあるモノを彼の手に触って弄られる。
「…っぁ」
甘い刺激に堪らず彼の唇から逃れ、 声を漏らす。
片桐君は、俺の首筋に舌を這わせ、後に射精した俺の液で濡らした指をぐっと後ろへと入れる。
「あ…っ、片桐君、」
なんだか、いつもより彼の指が強引に入ってくる気がする。
「かたぎりくん…、それ、指何本…?」
「2本」
そう言いながら、片桐君は俺のナカで指をかき回すように動かす。
「俺の挿れるんだし、指2本くらいどうってことないですよ」
ズルリと後ろから指を抜きながら、片桐君は俺を見下げて軽く笑んで言う。
それは不敵な笑みのようで、どこか違う表情にも見えた。
片桐君が上を脱ぎ、仰向けに横たわる俺の腰を引き寄せて持つ。
彼のモノがずしり、入ってくるのを感じて、体がつい強ばる。
「…うぅっ」
「力抜いて、大丈夫。リラックスして」
彼に言われた通り、目をぎゅっと固く閉じながら、俺はなるべく体に力を入れないようにして、大きなモノが入ってくるのを感じていた。
「ほら入った」
ふっと目を開けると、目の前に大好きな彼の優しい顔が映り、俺は安堵するように涙する。
抱き締められる彼の背に両手をまわしてしがみつく。
ナカで片桐君のモノがゆっくり、でも奥深くまでしっかりと動くのを感じる。
最初は異物が動く違和感と痛みしかなかった感覚が、だんだん別の感覚を呼び覚ましていく。
「んっ…」
…完全に痛みが無いわけじゃないけど、……気持ちいい気がする。
片桐君のやり方が上手いのだろうか。理由はよく分からないけれど。
「星七さん平気?」
片桐君の問いに、俺は頭を縦に動かす。
それどころか寧ろ…もっと動いて欲しいとすら思っている。
「ぁ…っ」
ナカにある彼の感触に、羞恥と嬉しさが混ざった涙が流れる。
気持ちいい……もっと、もっとして欲しい。
「…」
そう思っていると、ふと彼が体を起こし、仰向けになる俺を見下げる。
俺は先ほど見かけた、虚ろな目をした片桐君の顔を再び目にする。
「星七さん、俺に隠し事してますよね」
彼の言葉を聞いた瞬間、サーっと顔の血の気が引くのを感じた。
「…なんの、話…」
片桐君は黙ったまま、俺を見ている。
「星七さん素直だから。嘘付いてるとすぐ分かる」
そう告げると、片桐君が唐突にナカから大きなモノを引き抜く。そして、仰向けになる俺の体をうつ伏せに変えると、彼の手が俺の腰を両手で掴み上げ、再びその大き過ぎるモノを躊躇なく、一気にナカへと押し進めてきた。
「…っっあ……っっ!」
その強すぎる衝撃に、痛みと恐怖、そしてほんの少しの気持ちよさを感じて、ベッドを涙で濡らしながら体を震わせた。
「あっぅ…っ、片桐君、ぁっ」
気付いてたんだ、気付いてたんだ……全部、全部。
「あ…っっ」
彼のモノが入り口付近から奥深くまで何度も激しく突かれ、最早どの感情か分からない涙を流して声を上げる。
痛い、痛い……
そのうち片桐君が、いつの間にか四つん這いになっていた俺の耳元に後ろから顔を近づける。彼の匂いと囁く声に、体がゾクリとした。
「星七さん…もしかして酷くされるの好きなんですか」
ビクリ、不意に彼の手にアソコを軽く握られて、涙で濡らした瞳を大きくさせる。
「…全然萎えてないんですけど」
耳傍でふっと笑う彼の声が聞こえた。
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