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110.甘くない夜2※

【R18】 ―― 「上に跨って」 片桐君はベッドのヘッドボードにもたれるようにして、静かに腰を下ろして言う。 引き締まった裸体の上半身。ズボンは腰まで下ろされており、彼の大きなモノが視界に飛び込んでくる。 ま…跨る……?これに…? 「い……いやだ」 俺は広いベッドの上に全裸で座り込んだまま、首を横に振る。 「星七さん」 ふとかけられた彼の優しい声に、思わず顔を上げる。そこには片手をこちらへ差し出して待つ、微笑を浮かべた片桐君の姿があった。 俺は引き寄せられるように、彼の元へと足を運ばせる。 ……でも、これの上に跨ってって言われても…。 そう思いながらも、目の前にある彼の視線に囚われ、もう逃げることはできないと悟る。 俺は彼の太ももをまたぎ、彼の肩に両手で触れながら、ゆっくりと腰を落としていく。 「う……っっ」 まるで体の中を突き破るように、片桐君が入ってくる。 片桐君は、俺の腰を両手で支え掴みながら、口元を緩めて俺の様子を眺めている。 「いい感じ」 「…っ…」 行為の恥ずかしさに堪らず目を瞑っても、近くで彼の視線がじっと注がれるのを感じとってしまい、体が熱く火照る。 「…んっっ…は、ぅ…っっ」 きゅっと彼に胸の突起を弄られながら、俺は腰を落とし、彼のモノを丸々咥え込む。 腰を完全に落としきった瞬間、奥の突き当たりに彼の先が深く突き刺さり、びくりと大きく体が震える。 体いっぱいに、片桐君を感じる。 「動いて」 彼の手が俺のを触りながら、そう優しく指示してくる。 俺は片桐君の肩を掴む手を震わせながら、やっと落とした腰を再び上にあげる。 「ひ…っぁ」 ナカで彼のモノがずるりと擦れて、俺は生理的な涙を浮かべながら、口を開ける。 「もっと早く動いて」 こんなんじゃいつまで経ってもイけませんよ。 片桐君はそう言って、少しだけ鋭い目を向けてくる。 俺は、片桐君の様子を窺いながら、濡れた瞳を泳がせる。 もっと、早くって… 「……むりだよ」 こんな行為するのも初めてだし…やり方もよく分からないし…。そもそも彼の大きなモノを、今こうして何とかナカに咥え込むだけでも、精一杯なのに…。 「できないんですか?」 彼の手に立ったアソコをぐりっと弄られて、ピクピクと体が震える。 「…あ…っだ、だって」 見つめられる彼の視線に、自分の頬が赤く染まるのが分かる。 「…わ…分かった…。やってみるけど…」 俺は上げていた腰を下に向かって浅めにぐっと引き降ろす。そしてまた腰を上に、再び下へ。 熱い息を漏らしながら何度かそれを繰り返していると、片桐君と目が合う。 「ちゃんと奥まで」 片桐君は、ふいに上がっていた俺の腰を掴むと、ぐいっと下へと引き落とした。 「…っっっっ!?」 先端から根元まで、突然奥深くまで沈められた衝撃に、目の前がチカチカする。 「ぁ…っっ…う…」 奥深くまでぎっちり片桐君のモノが入り、気持ちよさか痛みか、どちらか分からない体の震えを感じる。 堪らず、助けを乞うように彼の首裏へ腕を回し、縋りついた。 けれど片桐君は逃がしてはくれない。 俺の腰を掴んで引き上げ、再び根元まで突き上げる勢いで、深く押し落としてきた。 「ぁああっっ」 体の奥に、彼のモノが容赦なく突き刺さる。 その強過ぎる刺激への恐怖で、体がガクガクと震え、瞳から涙がこぼれ、空いた口から涎が垂れる。 ナカが熱く、奥がヒリヒリとした痛みを伴っている気がして、俺はすぐそばの片桐君の顔を懇願するように見つめる。 「片桐君……もう……」 片桐君は、意地悪な表情を浮かべて、泣く俺の姿を見ている。 「うん?」 俺は、大好きな彼を見つめながら、震える口元を動かす。 「もう、いやだ」 片桐君は、ぼろぼろと泣く俺の頬を伝う涙を、舌で軽くべろりと舐めとる。 ほんの少し口角を上げた、優しくも意地悪な笑みをした彼の視線に囚われる。 「星七さん、すごく可愛い」 片桐君の顔が近寄り、深いキスをされる。 ナカにモノが入ったまま、彼に体を押し倒される。 「ぁっぁ」 仰向けの俺の上で、片桐君は先ほどより優しく動きながら、手で俺のモノを刺激してくる。 ほどよい快感に安堵するように感じていると、上から片桐君が仄かに笑む。 「星七さん」 名前を呼ばれて、涙を目の端から流しながら目線だけをそっと彼に向ける。 「好き?」 それが彼への気持ちを指しているのか、行為のことを指しているのかよく分からなかったが、俺は小さく頭を縦に頷かせた。 なぜこんなにも好きなのか、そう自分でも思うくらい。 彼のことが、大好きで、……好きで、好きで、たまらない。 「好き、片桐君……。大好き」 片桐君にぎゅっと上から抱き締められ、俺は目を閉じて彼の背に手を回す。 はぁ、と彼の息を上げる声が耳傍で聞こえる。 ナカで優しく、でもどこか衝動的に突いてくる彼を感じてゾクゾクした。 「…星七さん」 肩に埋めていた顔を上げ、少し汗をかき、色っぽいカオをした片桐君が、切羽詰まった表情で俺を見る。 再び彼に口を塞がれてキスをされる。 舌を絡めた、熱を帯びた口付けを交わす。 「……!」 しばらくすると、奥で、熱いドクドクとしたものが注ぎ込まれるのが分かる。 俺はそれを感じながら、自分が彼の手に触られ、彼に突かれながら、いつの間にか果てていることを知る。 感じたことのない感覚がしばらく体中を駆け巡って、びりびりと麻痺するように痺れる。 ズル、と彼のモノが引き抜かれる感触に、びくり、体が反応して吐息が漏れ出そうになった。 彼が俺の片頬に手を添えながら、優しい眼差しで見つめてくる。 その彼の顔が相変わらず整い過ぎているからか、彼がいつにも増して柔らかい表情で俺を見るからか、俺は何故だか急に、胸が不安になる感覚を覚えた。 もしかしたら、これは全て作られた夢なんじゃないか、俺の妄想の中の出来事なんじゃないか―― ……なぜか、視界に映る彼の姿を見るだけで、そう思えて、仕方がなかった。

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