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2.
初田君を初めて見たのは、彼がハンカチを落とした時だ。
友達とお喋りに夢中で、他のを取ろうとしたのだろう。その際に落としたことに気づかなかったようで、たまたま後ろにいたから拾って渡そうとした。
その際、ポケットに入っていたからか、初田君の温もりと花のような甘い香りがする恐らく洗剤の匂いが漂ってきた。
ふわっとしてきたその匂いに、いい匂いとほっとするような、胸のときめきのようなものを感じた時、ズボンがキツくなるのを感じた。
えっ、と驚いた。
どうして、ただ匂いを嗅いだだけなのにこんなことになってしまうのか。
これでは初田君に対してそういう感情が芽生えていると本能的に感じているということになる。
自身の反応に当惑した。
が、この膨らみを不意に誰かに見られているかもしれないと途端に羞恥心を感じ、その場を立ち去った。
それがいけなかった。今思えば運命と呼ぶべきだろう。
最初のうちは人のものをすぐに渡さず、さらには興奮してしまった罪悪感があったが、それが段々と癖になってしまい、止められなくなってしまった。
だから、その生きがいを無くされては困るのだ。
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