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「初田君、ちょっといいかな」 今日の講義が終わり、さっさと帰ろうとした時、後ろから呼び止められた。 振り返ると見たことがない、されど整った顔立ちの同年代の男が立っていた。 「えっと、どちら様で⋯⋯?」 「ここじゃ話しにくいことだから、こっちに来てくれない?」 「えっ? え?」 手首を掴まれ、強引に引っ張られる。 連れて行かれそうな先は男子トイレ。そこで得体の知れない相手と一体の話があるというのか。 急な行動に頭が追いつかないながらも、「何をしやがる!」と声を上げた時。 「騒いじゃダメだよ」 口元を覆われ、その際に何か甘い匂いがし、それを嗅いだ瞬間。 意識が途切れた。

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