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3.
「初田君、ちょっといいかな」
今日の講義が終わり、さっさと帰ろうとした時、後ろから呼び止められた。
振り返ると見たことがない、されど整った顔立ちの同年代の男が立っていた。
「えっと、どちら様で⋯⋯?」
「ここじゃ話しにくいことだから、こっちに来てくれない?」
「えっ? え?」
手首を掴まれ、強引に引っ張られる。
連れて行かれそうな先は男子トイレ。そこで得体の知れない相手と一体の話があるというのか。
急な行動に頭が追いつかないながらも、「何をしやがる!」と声を上げた時。
「騒いじゃダメだよ」
口元を覆われ、その際に何か甘い匂いがし、それを嗅いだ瞬間。
意識が途切れた。
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