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第25話
「知恵の力……」
「君は頭がまわりそうだ。入寮して翌朝の早朝にこの部屋に辿り着いたのはぼくが管理人になってから初めてだよ。たいていは皆3日くらいたってからここに足を運ぶんだから」
じっと、翡翠色の宝飾を見つめる。ぼくはレフさんの話を片耳に入れながら、あの宝飾よりもっと眩い光を放つ瞳を思い出していた。
「ハイリ……」
「ん? なにか言ったかい?」
小さな声で呟いたぼくの声はひとりでに空中に消えた。
「いえ、なんでもありません。詳しく説明してくれてありがとうございます」
「もっと話したいところだけど、そろそろ朝食の時間だ。また今度ここにおいで。入寮したばかりでまだ友達も少ないだろうし、ぼくでよければなんでも答えるから」
「はい。そのときはよろしくお願いします」
「じゃあまた」
シャルメーニュの瞳の間を後にしてぼくは食堂に向かった。すでに入り口には長い列ができていて、ぼくのお腹はぺこぺこだった。
レフさん、いい人だったな……。18歳っていってたけど、もう大人と変わらないじゃないか。身近に大きなお兄さんがいなかったから少し新鮮だったな。ぼくもあんなふうにしっかりした人になれるだろうか。ここピシャランテで学べば……。
朝食を取り終えると、すぐに自室に戻って講義の準備をした。部屋に戻ったときにはウルクの姿は忽然と消えており、少し安堵した。また何か横暴な素振りをされたら憂鬱になるところだったからだ。
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