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第33話

 剣名式とは、入寮してから半年後に行われる新入生のための儀式だ。ぼくたちは剣名式が行われる前まではどんなに腕のいい剣士だとしても、「騎士見習い」として扱われる。それを正式に騎士と認めてもらえるのが剣名式の場なのだ。  戦闘を共にする己の剣に名前を付け、唯一無二の友として共闘するのである。名前は数多あるパルーアの言葉から取られ、ひとりひとり違う名前を名付けられる。  剣名式は3つの寮が合同で行うことになっている。ぼくはその知らせが届いてからすぐにレフさんに質問を投げかけてみた。 「レフさんは国王に詳しいのですか?」  うん? と優しく顔を傾けたレフさんは読んでいた本のページに栞を差し込みぼくに向き合った。 「ぼくの従兄弟が国王一家の飼う獅子の世話係を務めているからね。人よりは少し詳しい、くらいかな」 「国王一家は獅子を飼われているのですか?」  ぼくは目を丸くしてそう聞いた。するとレフさんは苦笑いを浮かべて逆にぼくに聞いてきた。 「獅子ではなく、兎だとでも思ったのかい?」 「ま、まあ鶏くらいかなと思って……」  くすりと頬杖をついてレフさんが笑った。 「鶏や兎は市民でも飼える庶民的な家畜さ。国王は異国の文化に興味津々でね。隣国では神獣とされる獅子をいたく気に入られて、獅子狩りに出かけるくらいなんだ。そこで捕らえられた獅子の1匹を王宮で飼っているんだよ」

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