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第50話

「とにかく今日は、シャルメーニュとは全く関係のない日だってことさ」 「たしかに」  さてさて、と本題に入るかのようにレフさんがこほんと咳払いをひとつする。 「今日の午後、アフタヌーンティーを開くことになっているんだけどオズも来るかい?」 「アフタヌーンティー? どんなことをするんですか?」  「ええとね」と新聞から目を離してレフさんはぼくのことを穏やかな表情で見つめる。 「寮の垣根など関係なく、皆で楽しく優雅にお茶を飲む会だよ。ぼくの友達に声をかけてあるからきっとオズも楽しめると思うんだよね」 「ぼくも参加していいんですか?」 「もちろんいいに決まってるさ。なんなら今日は新しい子を連れて行くとぼくが皆に言ってあるくらいだ」 「それってぼくが行かなかったらどうしてたんですか……」  悪戯っ子のような目をしてレフさんは答える。 「引きずって連れて行くまでだよ」  レフさんってときどき子供みたいなことを言うんだよなぁ。そこがまた魅力のひとつなんだろうけど。  レフさんの友達かぁ。一体どんな人たちなんだろう。レフさんみたいに紳士で、健やかで、優しい方ばかりなのかな。  ぼくはレフさん以外の寮生と交流することを少し楽しみにして午前の講義を受けるのだった。

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