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第52話

「イルファ。からかうのもそこまでだ」 「だってさー、こんな初心(うぶ)な反応されたらたまらねーじゃん」  イルファはにこりと笑ってぼくを見つめてくる。つま先から頭のてっぺんまでじろじろ見られて気分があまり良くない。 「挨拶は十分みたいだね。改めて紹介するよ。このやんちゃ者がイルファだ」 「よろしくー」  ひらひらと手を振ってぼくに見せてくる。褐色の肌に黄色い瞳。異国の血が混ざっているのは目に見えて明らかだった。 「オズワルドといいます。オズと呼んでください」 「オズねー。わかった。じゃあまずは君の疑問に答えておこうかな」  先程までの様子をうってかわって真剣な顔になったイルファと対面する。 「見ての通りぼくは異国人だ。パルーアに吸収された砂漠の民の一族の血を引いている。武力放棄したおかげで奴隷にもならずに街に入れたのさ。そして俺の祖父がテバ教の司祭となってから、代々一族の男子はカロスに入寮して騎士になっている」 「そうなんですね」  異国の血が混ざっている人を見るのはこれが初めてだった。ぼくはあまりじろじろとは見ずにイルファと向き合った。 「だから気にせず観察していーよー。俺ってルックス超最高だからさー。余さず見ていってよ」  華麗なポージングを決めたイルファに対して声をあげて笑ったのはレフさんだけで、ぼくは笑っていいのか戸惑ってしまった。少し遅れてレフさんにつられて笑うとイルファは満足そうに笑った。

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