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第61話
「レフ様が1年生になんの用だろうか」
「最近1人の寮生を寵愛されているという噂は本当なのか?」
「おい、1人レフ様に近づいていく奴がいるぞ。なんと恐れ多い」
「あの梟の仔め。ぴしゃりと冷たくされるに違いない。レフ様は他人に興味の薄いお方だからな」
しかし、聴衆の予想を裏切りレフさんはぼくの方へすぐさま歩み寄ってきた。待ちきれなかったと言わんばかりに肩を撫でられる。その手が華奢で触れ方が優しくてぼくは無意識に擦り寄っていた。
それを見たレフさんはほんとうに嬉しそうで、持っていた手編みのバスケットを片手に、るんるんでシャルメーニュの花園に向かった。
花園の丘につくとすぐさま用意してくれたのか、大きな蔓のデザインが模された布を芝生に敷く。
「さぁ、座って」
レフさんがあぐらをかいて座ったのを見て、ぼくはなんとなく正座をした。
無言でフォークを手渡され、ぼくは体がうずうずするのを感じた。
「ほら。お食べ」
手編みのバスケットから出てきたフロマージュの黄金色はぼくには眩しく見えた。
すごいっ。水飴でコーティングされてて煌めいてる。お月様みたいにまんまるで美味しそう!
じゅるり、と口の中で唾液が広がった。騎士としてはしたないと思いつつも、フロマージュに目が釘付けになった。
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