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第13話 厨房の仕事

「じゃあダグ。あとはおまえに任せる。帰りは迎えにくるから店の中で待ってろ」 「え、ちょっと! 待っ」 「はいはい。あなた、こっちね。エプロン渡すから」  降谷はさっき来た道を戻って行ってしまい、秀治だけがダグと二人取り残されてしまった。 「あの、えっと……俺ここで働くんですか?」  一応敬語で聞いてみるとダグは人懐っこい笑顔を浮かべてうんうんとうなづいた。 「蓮の紹介は間違いないからね。色々とおぼえることあって、大変だと思うけどよろしくね」  じゃあこれ、と茶色い洒落たエプロンを手渡される。しぶしぶと受け取るとダグが無理矢理着せてこようとするので自分で着た。 「おー、似合ってるね。じゃあ、厨房から練習ね」  二メートル近い大男から逃げられそうもないので、降谷が迎えにくるまではここにいようと秀治は考える。 「はいこれ、秘伝のレシピ。他言はだめね」 「あ、はい……」  急に働けと言われてもアルバイトを半年ほどやっていなかったブランクがあるせいか少し緊張してしまう。 「うちは日本とアメリカの料理、両方出してるから調味料多いんだよね。間違えないでね」  やや外国人っぽい訛りの日本語でダグは丁寧に仕事を教えてくれた。繁華街の一角にあるこの店は居酒屋バルと呼ばれる体系の飲食店らしい。オープンしたのは三年前で今ではかなりの有名店らしく休憩中にこっそり食べ〜ログるを開いてみたら星が四つついていた。繁華街の大通りに面するストリートに店を構えているし、人目につきやすいのだろう。食べ〜ログるのコメント欄には「店の位置がわかりやすくて入りやすい」「駅から徒歩二分! 近くて通いやすい」などと立地についてのコメントが多かった。

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