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第14話

「いらっしゃいませ。二名さまご入店です」 「あいよー!」  朗らかなダグの声がまだ人の少ない店内に鳴り響く。秀治はホールスタッフが送信した注文用紙を見ながらダグの手伝いに駆り出されていた。 「シュウ! お冷とお手拭き取って」 「はい」  ダグは秀治のことをシュウと呼ぶ。初めてのニックネームに違和感を覚えたが、そんなことを気にする余裕もなく注文が入る。  ホールスタッフに渡すと、「あれ新人さん?」と声をかけられた。明るい茶髪の毛先が猫っ毛の男性はテーブルにお冷とお手拭きを渡し終わった後で厨房に顔を出した。 「はじめまして。ホールスタッフのアレンです」 「あ、どうも……」  落ち着いた男性という印象の物腰柔らかなアレンという名の男は薄い緑色の目をしていた。すっと通った鼻筋が小さな顔の中で目立っている。この人も外国人か、と秀治はぼんやりと見つめているとダグに頭をこづかれた。 「ぼーっとしてると危ない! 集中集中。アレンもすぐ戻って」 「「すみません!」」  二人そろって謝りそれぞれの持ち場に戻る。秀治は唐揚げとポテトを揚げている間に、シーザーサラダを作っていた。ぐうっと自分の腹の音が聞こえて驚く。食欲なんてここ最近なかったのに。 「はい。シュウ。こっちもよろしく。天ぷらとカツ丼ね」 「はいっ」  厨房内はだんだんと慌ただしくなっていく。日本食とアメリカンフードのコンボに頭が混乱してきそうだ。ホールスタッフもちらほらと増えてきて店が猛スピードで回転し始める。とろいとろいと言われてきた秀治も、精一杯動く。ダグは特に叱ることなく秀治に指示を出していた。

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