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第16話
店内のそこかしこから歓声があがる。音楽に合わせて激しい腰振りダンスを披露するアレンを見ていられなくなり秀治は目を逸らした。こんな官能的なショーをまっすぐ見ることはできない。食洗機を掃除しながら仕事に集中しているとダグに肩を叩かれた。
「うちのショー大人気。だから見てみなよ。意外と面白いよ」
にっこりと微笑まれ拒否できそうにない。秀治はいそいそとホールへ向かった。
すると今度は別のホールスタッフと目が合う。彼は肩につくまで伸びた金髪を後ろでしばり、ビキニパンツのような短いズボンにチップの一万円札を何束も挟んでいた。一人だけ紙幣の量が違う。この店のナンバーワンといったところだろうか。軽く微笑むとなぜか秀治のほうへ向かって歩いてくる。
「新人さん? そんなところに突っ立ってないで、こっちおいでよ」
そう言われ手を引かれた。少し小高くなっているステージの上で着ていたシャツのボタンを外される。薄い胸が露わになり慌てて隠そうとすると今度はズボンを下ろそうとしてくる。じたばたと暴れていると客席からヒューヒューと冷やかしの声が聞こえてきた。
「ちょっと、俺は違うって……」
上半身半裸の状態で金髪の男に言っても信じてもらえない。
「可愛い子だね。僕は好きだけど」
「うわっ」
頬に軽くキスをされて飛び退くと、大袈裟だなぁと言って秀治の尻に腰を押し付けてきた。ぱんぱんと音が出るほど押し当てられ、何が何だかわからない。まばゆい照明の中で好奇の視線にあてられ、秀治は羞恥心で頬を染めた。その姿がいじらしくなったのか、男は秀治の体にまとわりつくように腕を回す。
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