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第18話
ロッカールームらしき小部屋に連れられ、バタンと扉を閉められた。秀治は急いで身なりを整える。いつのまにかエプロンも外れてしまったらしい。どこにも見当たらない。
「何をしてる。仕事はどうした」
降谷の低い声に背筋が凍りつく。違うんだよ、俺はちゃんと仕事してたんだ。そう言おうとしても喉が張りついて声が出ない。いつもそうだった。自分の言い分を自分の言葉で伝えることができない。拳を強く握る。
「……ストリッパーにでもなるつもりか」
ハッと乾いた笑い声が頭上から響いてくる。秀治はぶんぶんと首を横に振った。
「さっきのおまえ嬉しそうな顔をしていたぞ」
顎をぐいっと強い力で掴まれ上を向かされる。冷たい笑顔の降谷と目が合った。視線を外すことができない。
「……諦めろ。こんな細っこい体じゃ誰一人誘惑なんてできやしない」
見定めるようにじろじろと体を見られ、カッと体が熱くなる。自分の体が一番のコンプレックスだった。好きで細くなったわけじゃない。ちゃんとした飯を食べてこなかったから、小柄になってしまっただけだ。
「わかってる。それ以上言うなら噛みつくぞ」
精一杯の反撃のつもりだった。青い瞳が少し丸くなる。しかし数秒後にはまた元の大きさに戻っていた。
「犬みたいに噛みつくしか脳がないのか。人ならちゃんと言葉を使え」
秀治は降谷を睨み上げながら視線を外さない。今にも頭が沸騰しそうなほど怒りが込み上げてくる。ここまで馬鹿にされて黙ることなんてできない。
「なんなんだよあんた。イカれてる。俺みたいなやつに構うなよ。あのとき殺してくれればよかったんだ」
ふっと鼻で笑うと降谷は秀治の肩をロッカーに押し付けた。鈍い痛みに背筋が冷たくなる。
「おまえの命は俺の機嫌次第でどうとでもなる。今殺すのも生かすのもおまえの意思とは関係ない」
鋭い眼光に負けて秀治は目を逸らした。
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