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第21話 クインとアレン
「シュウって言うんでしょ。よろしくね」
そう言うと両頬に軽くキスをしてくる。
「うっ、あっ!?」
驚いて身を翻すと、とんとんと肩を叩かれた。
「俺たちの国の挨拶だから、深い意味はないよ」
そう言ってアレンも頬にキスをしてくる。初アメリカ式挨拶に秀治はばくばくと心臓が跳ねた。誰かにここまで近く触れられるのはほんとうに久しぶりだった。今朝の降谷の口づけも、店でのクインのキスも。今日は唇に追われ続ける一日だったななんてことを考えているとズカズカと二人が部屋に入ってきた。
「ふーっ、今日も疲れたぁ」
前の住人が残していったらしい革のソファにクインは体を預ける。ちょっと借りるよとアレンはトイレに立った。
「お疲れ様、です」
なんとなく労いの言葉を送るとクインは桃色の頬をぷくっと膨らませて不満そうな声をあげる。
「歳も近そうだし、僕敬語使難しくて使えないからタメ口でいいよ」
じとーっと見つめられ、ゆっくりとうなづくにとどめた。なんで人の家に勝手に上がり込んでいるんだろう。それぞれ自分の部屋があるはずなのに。
「僕の名前もう知ってると思うけど、改めて。クインだよ。ちなみにうちのナンバーワンダンサー」
得意げな顔をしてクインが言う。自分で言うだけさすがナンバーワンの貫禄があった。
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