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第22話 秀治の歓迎会
「キッチンも借りるよー」
トイレから出てきたアレンが持っていたスーパーの袋の中から肉やら野菜やらを取り出して勝手に料理を始めようとする。
「え、ちょっと、なんで俺の部屋で……」
戸惑う秀治をよそに二人はあっけらかんと笑ってみせる。
「新人の歓迎会は盛大にやらないと!」
クインは楽しげに別の袋の中から缶ビールと缶チューハイを取り出す。三人で飲む量じゃないだろと思いながらローテーブルに置いていくのを見つめていた。
「一番に選んでいいよ。今日はシュウの歓迎会だから」
人懐っこい笑みを浮かべてクインがつんつんと缶をつつく。その指先も丁寧にケアがされているのかピカピカだった。
「じゃあ、そのピーチのやつ」
缶チューハイなんていつぶりに飲むだろう。クインは「甘党なんだね」と言いながら缶を渡してくれる。それを受け取ってからキッチンに向かった。
「あの、何か手伝うことは……」
そういいつぐむとアレンは横目で秀治を見てにっこりと笑った。
「大丈夫。すぐに作るから、二人でおしゃべりでもしてなよ」
完全にアレンの聖域と化したキッチンに足を踏み入れることなどできず、今きた道を戻る。
るんるんとした様子でクインは秀治を見つめている。
「アレンー。先に飲んじゃっててもいいー?喉乾いちゃって」
大きな声で料理中のアレンにクインが声をかける。どうぞーと優しい声が返ってくると、クインはすぐさま秀治に缶を掲げさせてカンパーイと一声あげた。つられてカンパイと小さく呟くと、もっとテンション上げてこと言われプシュっと缶を勝手に開けてきた。
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