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第46話
レッスンを受け終わる頃には息が上がっていた。意外と疲れるんだ、というのが感想だった。これを涼しい顔でやってのけるストリッパーたちに尊敬の念を持つほどに。
「基礎は今教えたとおりだ。あとはクインとアレンに教えてもらえ」
あんなに激しく動いたというのに降谷からは息切れの音も聞こえない。けろりとして床に膝をつく秀治を見下ろしていた。
「一ヶ月後、また動きを見てやる。そのときに俺を頷かせてみろ、童貞」
こいつ俺の名前覚えてないんじゃないか。そんなふうにすら思えてくる。この程度のレッスンでへばる俺も俺だが、足腰が痛み始めている。今日は帰ったらすぐ風呂に浸かって眠りたい。明日も厨房は忙しいのだ。
「寮まで送る。早く服を着ろ」
いそいそとシャツとズボンを履いて身なりを整える。ボクサーパンツ一丁の姿を見られてしまったから、目の前で服を着るのももはや抵抗はない。
寮のオートロックの前で降ろされると、すぐさま降谷は帰っていった。なんというか、名残もクソもない。自分勝手なやつ。そんな言葉を吐き捨てて部屋に戻った。
ドンドン、と夜遅くにドアを叩かれる。風呂上がりでベッドに横になりさぁ寝るぞと意気込んでいた俺は、よろよろとドアの隠し窓から騒音の正体を見破る。クインだ。
「なんなんだ一体」
追い払うわけにもいかないのでしぶしぶドアを開ける。すると、金髪の塊ががばっと抱きついてきた。男にしては軽すぎるなと思いながら、落とさないように背中に手を回す。こんな触れ合いも苦ではなくなっていた。
「おめでとうシュウ! 蓮さんから聞いたよ。レッスン受けたんだってね。これで蓮さんに認めてもらえれば僕と一緒にステージ立てるね」
早口で捲し立てられ、うんうんと頷いてやる。ぱぁっと顔を輝かせてクインは笑顔を見せる。口の間から見える歯は真っ白だ。
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