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第86話 R18

「あの、唯斗さん……勃って……」  口にするのも恥ずかしかったがすりすりと擦り付けられるそれを黙っていられるほど余裕はない。 「そりゃ勃つよ。好きな子の前だもん」  ああ、王子様だなぁ。とぽーっと後ろを振り返って見つめていると、一際強く抱きしめられた。ちゃぷちゃぷと湯船が騒ぐ。 「俺も緊張してるんだよ」  耳元で囁かれ、手のひらを唯斗の胸に近づけさせられた。ぴたりと触れると、どくどくどくと激しい鼓動が聞こえてくる。それがたまらなく嬉しくて唯斗の胸に頭を寄りかけた。 「俺だけじゃなくて、よかった」  ちゅっと軽く額にキスをしてくる。上がろうかと声をかけられて、二人で湯船から上がった。体を拭きあいっこしてベッドに導かれる。水気の含んだ髪の毛がきらきらと輝いていた。この人が俺の光──。 「ここからは手加減できないかも」  ベッドに縫いつけられて息が詰まる。真剣な目でそう言われると胸が熱くなった。 「手加減しなくていい……唯斗さんの好きにして」  そう呟くやいなか、口内に唯斗の舌が入ってくる。ねっとりと舌を吸われ、たたみかけるように体の至る所をフェザータッチされる。くすぐったさと気持ちよさに身をくねらせると、今度は首筋に顔を埋めてくる。強く吸われて、ああキスマークをつけられたんだなと理解するまでに数秒を要した。一度お互いの下半身に触れたことがあるせいか、安心して身を任せられた。以前は緊張しすぎて反応が鈍かった自身のそれも、今日は痛いくらいに張り詰めている。早く触れて欲しいと心の奥底からいやらしい思いが溢れてくる。

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