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第89話 青い獣の疼き R18 (side 降谷)

 金森唯斗(かなもりゆいと)。28歳。大手スポーツメーカーの副社長。降谷が知っているのはその肩書きだけだった。シャイニングムーンの店内で伊織にキスをねだられながら、ふとここにはいない男のことを思い出す。開店当初から足繁く通っていた、通称王子様。キャストからはそう慕われているらしい。 「蓮さん。こっち向いてよ」  伊織が降谷の唇に吸い付く。口だけ開いてあとは勝手にやらせておく。店の定休日のXデーに来るのは久々だった。目当てのキャストがいるわけでもないが、ここにくればストレス発散にはなるだろうと思い足を運んだ。  クインに聞いた言葉が耳を離れない。『シュウなら王子様と一緒にどこかに行ったよ』あいつが男を釣るなんて芸当、できるようになっていたなんてな。ふっと自嘲的に笑うと伊織が唇を離した。上目遣いで降谷のベルトに手をかけてくる。 「来るならもっと早く来てくれればよかったのに。蓮さんに抱かれたいキャストばっかだよ、うち」  閉店時間の一時間前にふらりと足を運んだからだろう。キャストはほぼソファやカウンターで絡み合ってラストスパートに向かっている。そのへんで暇をしていそうだった伊織に声をかけただけだ。ただ、性欲が処理できればそれでよかった。伊織に特別な想いがあるわけでもない。 「やっぱりいつ見ても大きいよね。蓮さんのこれ」  ぱくりと降谷の怒張が伊織の口内に飲み込まれる。生温かい感触にため息が出る。こいつはあまりフェラが上手くない。クインのほうが一枚上手といったところか。しかし、何もされないよりは気持ちがいいのでだんだんと大きくなっていく。飲み込めないのか伊織がぷはっと息継ぎをした。

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