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第115話 R18
「おまえなんてあの時殺してやればよかったんだ」
耳元で秀治にだけ聞こえるように降谷が呟く。ぞっとした。あの晩のことを思い出す。眩しい街の光、青白い月、氷のように冷たい瞳。
「クイン。今日は気が乗らない」
反応しているくせに、降谷はそんなことを言う。クインがむすっと顔を歪めた。降谷は秀治のはだけた着物を正すと、また手首を掴んで自室に連れて行く。何が何だかわからない。震える足で部屋の中に入ると、途端に畳に押し倒される。
「何すんだよっ」
細い手首では頑丈な檻からは逃れられない。降谷の股間が秀治の太ももにあたる。そこは硬くなっていて、天を向いている。
「おまえ目障りなんだよ」
十二月の外の空気よりもっと冷たい怒気を孕んだそれに背筋が凍りつく。
「な、んで……」
その答えは返ってこない。がばっと着物を脱がされて、下着一枚にされる。無遠慮に指が入ってきた。その手は冷たくて、硬くて、怖いと思った。初めて降谷のことが怖いと思った。犯される──。
「もう、喋るな」
そう言った降谷の瞳には影が落ちていて、苦しげな表情をしていた。どうしてそんな顔で俺を見るんだ。
優しさの欠片もない愛撫。胸の飾りを乱暴に弾かれ、火花の散るような痛みを感じる。唯斗さん、とあの優しい笑顔を思い出す。助けて、と声にならない叫びを上げた。泣き出す俺をよそに降谷はその手を緩めない。
「動くな」
畳に腕を縫いつけられて、そう凄まれる。恐ろしくてたまらない。これはいつもの降谷じゃない。獣のように秀治を見下ろしている。
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