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第131話 トリプルはおいしい?
今月のXデーは三組でデートをすることに決まった。それぞれの相手は快諾してくれたらしい。どこに行こうかとクインがスマホでデートにおすすめの場所を検索している。どこにも縁がない秀治は二人が調べてくれるのをただ見守っていた。
「ここなんかどう?」
アレンが見せてきたのは江ノ島の地図だった。洒落たカフェやレストランが多く、若者からお年寄りまで訪れる有名な観光地だった。今の季節は入れないが青く透き通った海が一望できるとあって、夏場は相当混んでいるらしい。今の時期は閑散期らしく、人混みも気にならないという。名物のしらす丼を見ながらアレンは涎を垂らしそうになっている。
「じゃあ決まりね。義則さんが車出してくれるって」
車好きな義則はボックスカーを所有しているらしく六人乗っても平気だという。まだ一週間も先だが行き先も決まってわくわくとしてくる。少し気まずいのはアレンの恋人の拓馬と再会することだった。初めてのXデーでキスをされてしまったことを思い出す。アレンは気にしなくていいよと言ってくれたが、唯斗にばれたらどうしようと気が気ではない。拓馬が忘れていますようにと祈り三人で店に向かった。
「珍しい三人だね」
ソファ席で唯斗、義則、拓馬の三人がなにやら話し込んでいる。それぞれ何度か店で見たことがあったらしく、顔合わせをすんなりと終えたらしい。ショーの直後にシュウくんと名前を呼ばれた。少し高めの柔らかい声に振り向くと、黒縁眼鏡をかけた短髪の男性と目が合う。隣では唯斗が手を振っていた。そしてもう一人、この間キスをしてきた拓馬が腕を組んでこちらを見ている。
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