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第134話

「初々しいやつらだな」  ふっと軽く笑って拓馬がアレンの顎に手をやる。 「ちょっと、拓馬さん……」  抵抗しつつも結局は受け入れたアレンをじっとりと見つめると、シュウ怒らないでと小さな声で言われた。  拓馬は目の前で唯斗と秀治に見せつけるようにしてアレンの唇を奪った。首を傾けて何度もキスをされていると、アレンの顔がだんだんと惚けていく。初めて見るアレンの表情にどきりとした。親しい友人のそんな姿を見て驚きが隠せない。すると、助手席で手持ち無沙汰なクインもねだるように赤信号で停車した義則にキスを求めている。車内は二つのカップルが早々にキスをし合う異様な空間に変わっていた。  義則はクインの唇に軽く触れるだけのキスをして頭をくしゃりと撫でた。途端に嬉しそうにクインが身をくねらせる。義則は安全運転して欲しいんでしょ、と囁いて再び運転に集中し始めた。 「俺たちもする?」  唯斗の囁きに体がぴくりと震える。ふるふると首を横に振った。すると、残念そうに眉を落とされる。こんなにはっきりと表情を見せてきた唯斗を見るのは初めてで、申し訳なくなる。しかし、見られているとわかっているこの状況でキスをすることはできなかった。スッと唯斗の指が離れていくのを感じておろおろとしていると、くすりと笑われた。 「今日のシュウくん。いつもと違って見てて楽しいよ」  そして再び手のひらを強く握ってくるものだから、心臓がばくばくと鳴り止まない。

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