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第135話

「ちょっとサービスエリアで休憩しようか」  義則の一声で異様なムードが終わりを迎える。秀治はほっと胸を撫で下ろした。トイレを済ませて十五分後に集合と言われていたのを思い出しトイレの前のベンチに腰掛ける唯斗を眺める。すらりとした長い足は組まれ、背筋を丸めて座っているだけなのに妙に絵になる。今日は薄いベージュのコートに茶色いチェックのスラックスを履いている。白いセーターには皺一つない。それに比べて自分の服装はどうだろう。クインとアレンに何度も確認してもらってOKを出してもらった服装。黒いスキニーパンツに白い長袖Tシャツ。オーバーオールの黒いパーカーを羽織って終わりというなんともシンプルな格好に落ち着いた。ストリートっぽくてシュウに似合うよ。そう言ってくれた二人の言葉を信じたい。 「売店でも見に行こうか」  そっと隣で歩幅を合わせて歩いてくれる唯斗の優しさを感じながら、売店の入り口を通るとすでに二組のカップルは和気藹々とソフトクリームを食べながら駄弁っているところだった。といっても喋っているのはクインとアレンの二人だけで、義則ははしゃぐクインを宥めているし、拓馬に至ってはそれを無言で見ながらソフトクリームを頬張っている。カップルの形はさまざまなんだなと思いながら秀治もソフトクリームを買うことにした。思ったよりもサイズが大きかったので、半分こにしようと唯斗に提案されたがどうやって食べるかを考えていなかった。

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